2019年8月17日土曜日

徴用工問題で日本は韓国に落としどころを示しているハズ

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荻上チキ氏のラジオ番組*1で、朝鮮半島を専門とする政治学者の木村幹氏がインタビューを受けていて拝聴した。社会学畑の荻上チキ氏が振り回す日本人の植民地主義が日韓の軋轢を生み出したかのような話を、木村幹氏が日本人の植民地主義を否定し、日本側は変わっていないのだから韓国が原因で発生した問題とやんわりと全面否定していて面白い。しかし、木村幹氏の説明にも、ちょっと謎なところがある。

徴用工問題で日本政府が落としどころを示していないと言うような指摘がされていたのだが、2018年11月3日に河野外相は街頭演説で元徴用工への補償は韓国政府が行うべきだと主張していた*2。外交上の細かいやり取りは伏せられているので実際は謎だが、この辺が落としどころにならないのであろうか。また、事態の打開に向けて日韓請求権協定に基づいた仲裁委員会の設置が示唆されていた(51:40~)が、日本政府は既にそれを韓国に求めて拒絶されている*3。韓国司法の言い分に理があるのであれば、韓国政府に特に不利とも思えないこの辺の提案も拒絶される背景への言及が欲しかった*4

ところで、輸出管理の運用の見直し騒動の後、文在寅大統領が日本の重要性を認識し、光復節8月15日のスピーチで態度を変えて未来志向になったとするのであれば、日韓外交の専門家は、もっと安倍政権を褒めるべきな気がするのだが、その辺はスルーされていた。対韓外交は圧力を加えたら上手くいくと言う話にしたくないのであろうか。

*1【音声配信】特集「終戦から74年のきょう、8月15日に考える。日韓関係はなぜ戦後最悪と言われるまでに悪化してしまったのか」木村幹×ソ・テギョ×荻上チキ2019年8月15日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)

*2河野太郎外相、元徴用工への補償は韓国の責任で - 産経ニュース

*3徴用工問題、韓国は仲裁委の任命見送り 期限迎える:朝日新聞デジタル

*42008年に、1944年6月にナチスドイツ軍がイタリアのトスカーナ地方で行った虐殺に対する賠償請求訴訟でイタリア最高裁はドイツ政府い賠償を命じたが、2012年2月に国際司法裁判所(ICJ)でドイツ側が勝訴して賠償支払い義務の無効が確認されている。韓国の憲法の問題を除けば、今の日韓の状態に近い問題を、国際司法に任せることで解決した。

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