2019年5月27日月曜日

痴漢されたら安全ピンで刺すのは、運用上の問題がある

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痴漢されたら安全ピンで刺して対抗することの是非が議論されている。寡聞にして知らなかったのだが、twitterで寄せられた体験談および情報によると*1、1980年頃の東京でそのような行為が一般化していたという証言もあり、マンガの中でもそのような描写があるようだ。2004年の朝日新聞の記事にも、同様の行為を行ったと言う証言がある。誇張もある気もするのだが、やっている人はやっているとしよう。しかし、真似するべきとは言えない。

予想外の揺れで、安全ピンが思わず深く突き刺さる可能性、揺れの他、誤認によって関係のない人物に突き刺さる可能性がある。通勤・通学で利用している人であれば、列車が急停車したあとに線路内に立ち入りやら信号赤のためになどと言い訳アナウンスがされるのを何回も経験したことがあると思う。毎日のことなので慣れてはいるだろうが、カーブがきつい特定ポイントもある。混雑率が150%を超えるような痴漢を受ける程度の混雑であれば、犯人をまっすぐ視認することも無いであろうし、周囲に人がいないことも無い。

小学生が「名札を付けている安全ピンがふざけて遊んでいる時に針が取れて胸に刺さった」事例があるし、動脈が切れたら出血量はそれなり予想される。安全ピンではないが1991年12月に「島根県浜田市で71歳の女性が、着物の中に残っていた縫い針が原因で死亡」と言う事例もある。名札のピンを突き刺したまま痴漢が逃げたという証言ツイートもあるのだが、服ではなく身体、とくに腕以外*2であったら若干の出血を伴う程度の安全ピンの攻撃は正当防衛の可能性が高い*3と言う話の想定を超えた攻撃になっていた可能性もある。

目標の人物以外を刺すこともありえる。安全ピンを出したときに揺れて、たまたま周囲にいた児童の顔に刺さるかも知れない。また、混んでいる車両では痴漢の腕などを目視して刺すわけではないであろうから、目標を誤認して刺してしまう可能性もある。2004年7月4日の朝日新聞には、「ポケットに忍ばせた安全ピンで突いた「犯人の手」が、バッグだったこともある。あまりの混雑で、どの男が痴漢か、間違えるのも理解できた」と言う36歳女性の証言もあるそうだ。関係の無い人に針を突き刺したら、正当防衛にはまったくならない事には注意して欲しい。

混雑した電車で通勤をしていない人が多いのか、法的に正当防衛か否かと言うところに関心がいってしまって、適切に運用できるかについて注意が払われていないのが残念なところだ。知人ではない無い男性に危害を加えるという行為を平均的な女性がすることができるのか、痴漢が逆ギレして女性に殴り返す可能性もある。昔、東京都が推奨していたそうなのだが、職員が実地に試した上でそうしたのか確認したいぐらいだ。不適切な行為への対処でも、より適切な方法をとるようにしよう。注目されるのが恥ずかしいと言う気持ちがわからなくもないが、声をあげるのがもっとも無難な方法だし*4、声も出せないという人のために警視庁の防犯アプリ*5もある。

*1痴漢されたら安全ピンで刺そうと言うのは… - Togetter

*2縫い針などの小さな突起物が手や腕にささり、動脈性出血になったと言う事例は見つけられなかった。

*3警察は推奨していないそうだ(安全ピンで痴漢撃退に関して警察に問い合わせた結果「傷害罪の可能性あり」との返答…推奨対策は「大きな声で注意」など - Togetter

*4痴漢の被害にあったことが知れるのがソーシャル・スティグマになると言うような言説も稀に見かけるのだが、それによって就職などによって差別されたというような事例も聞かないし、現在では(申告ベースで)痴漢被害の経験女性はかなりの比率にあがっており、特段の差別的扱いをするのも難しいように思える。

*5頼れる!警視庁の防犯アプリ ダウンロード16万件突破:日本経済新聞

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