2017年11月15日水曜日

タックスヘイブン対策税制はそこそこ機能している

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租税回避地の利用者リストであるパラダイス文書が話題になっている。この手のタックスヘイブンが話題になるたびに高収益の国際企業の節税行為が問題視され、税制の見直しがされて来ているのであるが、某大手携帯電話/コンピューター製造販売者のように毎回、槍玉に挙げられる企業も存在する。これまでの国内法や国際協調BEPSなどの規制強化は意味が無かったのであろうか。報道されている限りは、そういうわけでは無さそうだ。

今回のパラダイス文書に関した報道でも、「日本人12人が2000年、アメリカに設立された不動産リースの投資事業組合に出資…この事業体が行った不動産リース事業をめぐっては、後に国税当局が税逃れと判断して出資者を追徴課税」と、租税回避に失敗した事例が含まれている。少なくとも日本は、外国子会社合算税制(通称、タックスヘイブン対策税制)という税制があって*1、租税回避を目的としたペーパーカンパニーは原則として許していない。税率が低い国に実態のある事業主体を置かれると取りきれないようだが*2、それなりに機能しているようだ。

国外でも代表的なタックスヘイブンとして知られるジャージ島が、1997年のEU規制*3を受けて利用が激減し、法人税収の大幅な落ち込みに見舞われている*4。スペインで有名サッカー選手が脱税で有罪になる事例も出ている。リストされた人物で政治活動、慈善活動に熱心な人々が偽善者だと非難されていたりもするが、言うほど節税できていたりはしないかも知れない。少なくとも「タックスヘイブンの闇*5や「失われた国家の富*6が批判していたような、節税や脱税をほぼ無制限にできるような状況とは異なって来ているようだ。

*1パラダイス文書で明らかになる租税回避の実態とタックスヘイブン税制 | 相続税理士相談カフェ

*2最高裁がタックスヘイブン対策税制を用いたデンソーへの課税を取り消す判決を出している(日経)。ただし、2018年度から制度改正されるので、デンソーと同様の方法が今後も許されるかは定かではない。

*3山口 (2009)「タックス・ヘイブン規制の強化」レファレンス,59(11), PP.55--75

*4タックスヘイブンの末路金融に呪われた島ルポ|日経カレッジカフェ | 大学生のためのキャリア支援メディア

*5関連記事:守秘法域の租税回避地が引き起こすこと

*6関連記事:過激なタックス・ヘイブン対策を勧める「失われた国家の富」

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