2014年12月12日金曜日

アベノミクスの大前提はイマイチな状況

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消費増税延期の是非を問う選挙だったのが、いつの間にかアベノミクスの是非を問う選挙になっていた第47回衆議院議員総選挙だが、どうも野党の選挙戦略もしくは経済音痴のせいで、アベノミクスの大前提に対する批判が甘いような気がする。大前提と言うのは、金融政策の転換と言う第一の矢に何らかの効果があったと言う所だ。まずはこれを確認するために、マネーストック統計について言及しなくて良いのであろうか。

銀行の融資活動を反映し、インフレ率や為替レートなどに大きく影響するのは、中央銀行が供給しているマネタリーベースではなく、市中銀行の預金残高などを表すマネーストックだ*1。マネタリーベースを増やせばマネーストックが増えると言う主張もあるのだが、それはゼロ金利になる前の経験則に過ぎないから、やはりマネーストックの状態を見る必要がある。マネーストックが増えないと、金融緩和の効果があったとは断言しづらい。だからマネーストック統計を見る必要がある。

実際に見てみると、黒田日銀が国債などを金融機関から積極的に購入しマネタリーベースを引き上げたのは事実であるものの、その傾向は白川日銀のリーマンショック後からのトレンドを逸脱するものでは無い。金融緩和で非常時の資金調達の目処が立った企業が内部資金を使っているという議論もあるが、全ての企業がそうであると言うのも無理がある。白川日銀と黒田日銀に大きな差異はないと言えるであろう。何はともあれアベノミクスの大前提が機能しているのかは、疑わしい数字となっている。

こう書くと、なぜ円安になっているのか疑問に思うかも知れない。相場の思惑を推測するのは困難だが、安倍政権前に比べて米国の長期金利が上昇していること、貿易赤字が持続的に続いていることなどを理由にあげる事はできる。財政規律の喪失から円安になると言う予言もあった*2。何が理由かは分からないが、アベノミクスが機能した結果とは言い難い状況になっている*3

*1金融政策のフロンティア: 国際的潮流と非伝統的政策」の第5章を参照。

*2日本は財政難から3-5年で円安、長期金利3%へ-伊藤隆敏東大教授

*3米国では量的緩和が機能したと思う人々もいるかも知れないが、Woodford(2012)では否定的に捉えられていた。黒田バズーカの効果が無いか小さくても、日本が特に異常と言うわけでもない。

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