2013年7月15日月曜日

人工甘味料で痩せるとは限らない

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人工甘味料が不健康だと話題になっている。元ネタは色々とあるみたいだが、ライフサイエンス分野における世界最高峰の学術雑誌であるCellに掲載されたSwithers(2013)と言うサーベイ論文が流れてきた。内容で目に付いた所を紹介したい。

人工甘味料を使った飲料と砂糖を使った飲料の比較をした各種調査の結果をまとめたものだが、コホート調査を含む各種の交絡効果(e.g. 世代、年齢、性別、元々の体重や健康状態、居住地域、人種)をコントロールした研究でも、人工甘味料が肥満や成人病を抑制する傾向は見られないそうだ。ただし低カロリー食品で太るはずもなく、子供の場合は人工甘味料で痩せるような結果も出ている。

厳密な原因は不明なのだが、人工甘味料が砂糖の代替にはなり切れないらしい。ネズミを使ったランダム化比較試験では、人工甘味料が混じった餌を与えられると、食欲が増す傾向が見られるそうだ。人間の脳でも、日常的に人工甘味料を摂取している人は、人工甘味料と砂糖で脳の反応が異なるらしい。また、人工甘味料は砂糖ほどはグルコースの消費を促すインシュリン分泌を刺激しない。

結論が見えているように思えるが、人工甘味料の飲料と単なる水を比較したときに、上述の特徴が現われるかと言うと、十分なデータは無いようだ。インシュリン分泌の場合は、炭酸水よりはあるようだし、そういう意味では人工甘味料で痩せると言う十分なデータはないが、不健康だとも限らないようだ。結論はいつもの通り、食べすぎ、飲みすぎなだけなわけだが、今後の研究に期待したい。

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