2012年2月14日火曜日

「死亡率0.1%なら1000人にひとり死ぬ」は間違い?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

毒性が良く分からない低レベルの放射性セシウムに関して、確率論的に『「死亡率0.1%なら1000人にひとり死ぬ」は間違い』と言う話題があがっていた。早川群馬大学教授を批判する内容だが、批判になっているような、細部をつついているような感じだ。またベルヌーイ分布を持ち出す必要性は無いように感じられる。

1. 服毒者1,000人だと目立つ粗

Togetterにあるように、通例使われる確率分布はベルヌーイ分布になるため、死亡率0.1%の毒を1000人が飲んだときに、死亡者数0人は36.77%、1人は36.81%、2人は18.40%、3人は6.13%、4人は1.53%、5人は0.30%となっている。分布を書くと以下のようになり、これを意識する限りは「ひとり死ぬ」とは断定できない。

ただし期待値は1である。早川教授の“毒性の解釈”への批判を行う場合は、期待値で危険性を量るべきかと言う事であろう。

2. 服毒者数が増加すると分布形状が変わる

1,000人の場合は誤差が“目立つ”わけだが、もっと服毒者が多くなれば分布の形状が変化するので、粗が目立たなくなる。1,000人のときの分布では解釈できない。

3,000人なら分布は以下のようになり、期待値は3になる。誰も死なない0人の確率がぐっと減ってる。

10,000人だとどうであろうか。期待値は10で、0人の確率はほぼ0になる。

30,000人だとどうであろうか。期待値は30で、0人の確率はほぼ0だ。

中心極限定理の一例になってしまった。誤差はあるわけだが、期待値を死亡者数と見なす解釈がそう奇妙なものではない事が分かる。期待値の周辺が死亡者数になるためだ。

早川氏は1,000人が服毒すると言いたいわけではなく、大量の人間が服毒すると致死確率が低くても一定数の犠牲者が出ると言いたいのであろう。福島県の人口は1,982,991人だ。すると二項分布を前提にした議論をする必要が無い。

3.「死亡率0.1%」はどこから?

さて、この話にはもっと重要な問題があって、死亡率0.1%で確率計算をしている事だ。医療統計では50%致死量(LD50)ぐらいを目安に毒物を管理している。醤油なら1リットルぐらいになるそうだ。なぜ0.1%ではなく50%かと言うと、習慣的な意味もあるが、0.1%ぐらいの致死量では経験的にベルヌーイ分布に基づか無い面もあるからだそうだ。LD50も個体や摂取方法で随分と誤差が多い数字だそうだが、LD0.1がどの程度の意味があるかと言うと、恐らくまるで意味が無い。

つまり分布に基づいて考えろと言う批判よりは、死亡率0.1%と言う仮定がどこから来たのかのと言う方が問題だ。LNT仮説から導き出された数字なのではないかと思うが、LNT仮説の信憑性は低い(関連記事:ピンクリボンとLNT仮説)。

0 コメント:

コメントを投稿