2024年2月9日金曜日

偽証によって高校生のアメフト選手が性的暴行の罪で服役することになった事件

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米国では映画化もされた有名な事件で頻繁に参照されているのだと思うが、2012年に性的暴行事件が完全な冤罪であったことが示され、服役していた男性の罪が取り消された事件の部分的紹介が流れ、反響を呼んでいた。ネット界隈では女性の一方的な被害の告発によって冤罪が生じたと理解されつつあるようだ。しかし、実際の経緯はもっと複雑だ。

2002年、当時16歳のBrian Banks氏は将来を嘱望された高校生のアメフト選手だったが、何らかの事情で当時同級生の女子高生Wanetta Gibson氏と険悪な雰囲気となって別れ、後でGibson氏に誘拐と強姦で刑事告訴された*1

Gibson氏の身体には強姦された形跡は無かったが、Banks氏は逮捕され、罪を否認して懲役41年になる可能性を、司法取引に応じて減刑を受けるかの選択を10分以内に迫られた。Banks氏は司法取引に応じ、懲役6年、保護観察5年、性犯罪者データベースへの登録の罰を受けることになった。Banks氏は、弁護士の説明から、18ヶ月の収監で済むと思ったらしい。

6年の収監後、保護観察となったBanks氏のFacebookに、Gibson氏が過去のことを水に流したいと連絡をとってきた。Gibson氏はBanks氏と会って、事件の誘拐も強姦も無かった、Banks氏の犯罪歴を消す助けになりたいと言い、Banks氏はそれを録画。Banks氏は事件後にロング・ビーチ校から得た150万ドルの賠償金の返還を恐れて、検事に再度それを証言することは拒絶するものの、録画を根拠にBanks氏の罪は取り消された。

虚偽告訴した女性が過去のことを水に流したいと連絡をとってくるところに、狂言で周囲を振り回す女の情緒不安定さと言うか、身勝手な世界観を感じる事件だ。なお、ロング・ビーチ校はGibson氏に260万ドルの返還を求めるが、Gibson氏は行方をくらませた。しかし、身体的特徴と顔写真などは出回っている。

この事件、確かに女性の一方的な被害告発によって冤罪が生じているのだが、物証を軽視し、司法取引に頼った捜査の方が問題であったとも言える。なお、日本でも2008年に強姦罪や強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、最高裁まで控訴して争って有罪になったが、後に女性と目撃者が虚偽であったと告白してきたことから冤罪が発覚し、2015年に再審請求で無罪になった男性の事例がある。こちらも性的被害の痕跡はないとする診療記録を、検察が無視していたことが発覚している*2

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