2022年8月24日水曜日

岸田総理に求められていることは、収奪的な信者ビジネスは許さない宣言

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岸田内閣の支持率が急落している。メディアを賑わす世界平和統一家庭連合(統一教会)と政治との関係への対処が影響している可能性は高い。両者の関係を問題視する報道が多いが、安倍元総理の強い支持者層、統一教会が反社会的な団体と認識できない人々、安倍元総理の暗殺犯の政治的意図に従うことが面白くない人々などが、統一教会叩きだと反発している。

1. 有権者は収奪的な信者ビジネスへの対処を求めている

統一教会叩きに反発している人々は、問題を理解していない。信仰の自由はあるし、寄付は財産権の範疇であるから、統一教会に信者が寄付することは問題行為ではないと考えているのだが、信者が家族の財産を勝手に寄付をすることを誘発したり、信者が大きく生活水準を落とす結果になっており、収奪的な信者ビジネスだと言わざるを得ない。

このような収奪的な信者ビジネスはよくないし、それを政治家が裏書するような行為もよくないし、行政や立法が便宜を図るのは許し難いと言うのが、統一教会叩きの根底にある規範だ。世論調査を見ると、この大枠については概ねコンセンサスがある。岸田内閣は問題の対応として個々の政治家に収奪的な信者ビジネスと距離を置くことを婉曲的に求めるだけに留めているが*1、世論はもっと踏み込んだ対策を望んでいる。

2. 宗教法人法第81条の積極運用をする宣言

岸田総理は、組織的な詐欺や霊感ビジネス商法や不法行為の働きかけを行なった宗教団体は解散させると宣言しておこう。宗教法人法では、81条の規程に基づき、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」宗教法人は解散(と言うか宗教法人の取り消し)させることができる*2。憲法第20条1項に抵触すると言う人々もいるが、最高裁曰く、宗教法人の解散命令は宗教法人の世俗的側面に影響するのであって、憲法の保障する精神的自由を阻害しないので合憲。解散命令を受けても新しい団体を作るから意味がないと思うかも知れないが、解散命令を受けた毒ガステロ事件を起こした団体の構成員は公安の監視対象になり、新たな団体も宗教法人の認定は受けていない。

3. 党内の反発は限定的になる

この宣言、新たな立法措置は要らないので、自民党内からの抵抗は跳ね除けやすい。また、統一教会と関係が疑われる個々の政治家の責任を問わないので、自民党内で軋轢を残しづらい利点がある。萩生田光一政調会長を責めることにはならないし、下村博文元文科大臣に2015年の世界平和統一家庭連合への名称変更に関する説明責任を求めることにもならない*3。宣言からの風向きで統一教会を解散させることになって自民党員でも岸田氏と疎遠な清和会の人々が苦しい思いをすることになっても、2020年ぐらいまでの裁判で認定された不法行為が問題だったと言い訳することができる。

*1「政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことが大事だ」と述べている(時事ドットコム)。

*2統一教会と同様に霊感ビジネスで問題になった宗教団体「法の華」にすら宗教法人法81条による解散命令は出なかったという指摘が散見されるのだが、同法人は民事賠償で破産してしまったので宗教法人法第43条に基づいて解散になり、解散命令請求等を文化庁が行うまでもかった(第141回宗教法人審議会議事録)。

*3メディアは追求すると思うし、追求した方が良いと思うが、岸田総理が下村氏の恨みを買うことは避けられる。

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