モデルナ社製とアストラゼネカ社製の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンが承認された*1ので、にわかにファイザー社製と比較した表をメディアがよく提示しているのだが、なぜかアストラゼネカ社製の有効率が70%と旧い数字が載っている*2。
昨年11月ぐらいに2回目の接種量を半分にしたら有効率が90%になったと言う報道があり*3、最近もアメリカの第3相試験で発症に対して有効率79%、重篤化に対して有効率100%の結果だった*4、イングランド公衆衛生局(PHE)は週次調査報告書で89%としている*5と、外国メディアでは報じられていたのだが、外国メディアの報道はあまり見ないのか、どうもメディアの皆様の耳には入らなかったようだ。
もしかしたらメディアが取材した専門家の皆様も、伝言ゲームで旧い数字を参照しているのかも知れない。2回目接種のワクチンの量が1回目と同量の臨床試験で有効率62.1%、半量で90.0%、全サンプル平均で70%と言う2021年1月9日の論文*6の情報のうち、70%と言う数字だけを参照している論文*7を、感染症専門医の忽那賢志氏が参照していた*8。そうだとしても、広く報じられている話と矛盾するわけで、取材先に数字の違いを質問してくれても良かったと思うのだが。
*1モデルナとアストラゼネカのワクチン 厚労省部会が承認を了承 | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース
*2ここ一週間の記事を検索したのだが、例えば朝日新聞は約70・4%としている。東京新聞は76%とデータを更新している。
*3英アストラゼネカのワクチン、有効性90%にも 深刻な副作用なし | Reuters
*4AstraZeneca claims its COVID vaccine is highly effective—but is the company's data reliable?
*5アストラ製ワクチン2回接種、有効性85─90%の可能性=英公衆衛生局 | ロイター
*6Safety and efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine (AZD1222) against SARS-CoV-2: an interim analysis of four randomised controlled trials in Brazil, South Africa, and the UK - The Lancet
*7SARS-CoV-2 Vaccines: Much Accomplished, Much to Learn | Annals of Internal Medicine
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