誰かにリクエストされたはずなのだが、誰にリクエストされたか分からなくなった東京都の基本再生産数R₀の時系列変化のプロット*1を文学的にブラッシュアップしてみたので、専門家委員会の計算と、他の実効再生産数の推定値と比較してみたところ、狙ったわけではないが、概ね、専門家委員会の計算と似た結果になった。
まずは私の計算結果を示そう。潜伏期間と重症化までの日数を考えると、12日前ぐらいのR₀を示していると考えられるが、概ね、新規陽性者数の増減と整合的な結果になっている。
注が多いが、毎日の推定結果*2を並べるだけでは1を挟んで上下に激しく動き解釈がしづらかったので、累積感染者数をノンパラメトリック推定の推定量で平滑化する前処理を入れた。逐次ベイズ推定も平滑化目的で入れているが、効いてはいない。各時点の推定は4、7、14日間のデータを用いたもので比較してみたが、平滑化が効いているためか、大きな変化はなかった。なお、信用区間の幅が狭いが、このモデルが正しいことは全く意味しないので注意されたし*3。
現状の感染率ではR₀とRₜはほぼ同じなので、そのまま専門家会議と別サイトの結果と比較してみよう。
以下は、5月1日に示された専門家会議の計算結果。計算結果を移動平均をとって平滑化しているそうで滑らかにはなっているが、上げ下げの傾向はほぼ同じに見える。日付が後になるほど信用区間の幅が減っているので逐次ベイズ推定をそのままかけている気配がある。
以下は「Rt Covid-19 Japan: 都道府県別新型コロナウイルスの実効再生産数」の計算結果。信用区間の幅が広いのは、わざわざRₜの変化で誤差が増えるようにしている推定モデルの癖であろう。無いとポアソン分布の尤度の積になるので、もっとぎゅっと狭くなるはず。やや波うっているが、概ねこちらも(こちらの方が)専門家会議の数字と近い。
そろそろ専門家委員会も頻繁にRₜを公表してくる気もするのだが、これで、どんな数字を見ているかだいたい想像がつくようになった。現状のソーシャル・ディスタンシングと言うか、感染予防措置の程度をR₀で評価することができる。しかし、具体的な利用は今後で。
*1Twitterに貼ったのだが、3月の動きが大きく異なる。
*2関連記事:直近一週間のデータで基本再生産数R₀を推定する方法
*3y = R + C exp((S₀β-γ)t)で、RとCと(S₀β-γ)を推定するのだが、Rを同時推定できていない。
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