系統だった政策提言を行う場ではないそうだが、基本的対処方針等諮問委員会で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に関して、経済学者の皆様が出したK値、国民全員PCR検査、国内パスポートの3つのアイディアに対して、ネット界隈で懐疑的な声があがっている。思考実験的には面白いのだが、今、そういうのは、政府に諮問される人々には求められていないから*1。
これら3つに現実的な意義は乏しい。既に特性及び理論との対応関係が検討されている感染拡大の程度を示す指標がある中で、K値と言う新たな指標を導入する意義は乏しい。国民全員PCR検査は、1人1回1万5千円/2万円の検査を国民全員に頻繁に行う費用が膨大すぎて、検討するまでも無く否定的な結論に至る*2。国内パスポートは、都道府県境が明確ではない地域が多い上に憲法上の問題も抱えそうであるし、さらに既に感染拡大抑制をとにかく優先させるべき時期は過ぎている。
取りうる施策の予防効果と経済的コストを整理し、費用便益分析で何をどこまでやるか裏付けを与えること、メカニズムデザインやナッジなどで感染予防策を遂行/維持してもらう方法の提案などが期待されているのだと思うが、どうしてこうフリーダムな提案がされてしまうのか。短期間で実際の施策にインプリメントをしないといけないこと、インプリメントに失敗したときは感染拡大もしくは経済活動に大きな支障をもたらしうること、ドラスティックな変更は現場で混乱をもたらしがちな事を忘れていたりしないであろうか。
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