風聞では外務省が米国の学者相手に活動を行って反発を受けた結果らしいのだが、「日本の歴史家を支持する声明」と言うのが主に米国のアジア研究者から出ていた。英語と日本語で出ているので、恐らく日本政府と日本国民に向けたメッセージだと思うのだが、ここ二十年の日韓関係を全く踏まえていない文章になっているので、困惑してしまう。河野談話やアジア女性基金についての言及が無い。
日本政府の公式見解は1993年8月4日に出た河野談話がずっと維持されている。歴史修正主義者だと言われている安倍総理の内閣でも、ずっと維持されている。そこでは従軍慰安婦問題に関して、「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である」「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」とある。日本国内に異論が多々あっても、これが公式見解だ。
歴史学者の「日本の歴史家を支持する声明」を見ると、日本政府が従軍慰安婦問題に関して何か行動を起こすことを促している一方で、間接的なものを含めて河野談話についての言及が無い。アジア女性基金に関する言及も無い。その一方で「過去の不正義を認めるのは、未だに難しいこと」「日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会」とあるのだが、これで日本政府が従軍慰安婦問題で何ら非を認めていないように読めてしまう。河野談話とアジア女性基金は抹消されたようだ。
河野談話やアジア女性基金では不十分と言う主張もありえると思うのだが、これを無かったかのように提言をされても困惑してしまう。日本政府にさらなる行動を促すのであれば、現在までの日本政府の見解や行動にどのような問題があるのかも言及して欲しい。
1 コメント:
5月8日付で朝日新聞がシカゴでひらかれたアジア研究教会年次総会で決議されたとして 全文が紹介されている。同記事で、英文をhttp://t.asahi.com/hqb3を紹介していルとして書いてあるが、、トライしたが掲載が見えない。ちなみに毎日、読売をしらべたが取り上げていない。朝日のスクープになっているようだ。Japan Timesの5月8日と5月10日には取り上げている。 VogelやDooreはじめ知日派の学者187名が連名で日本政府に対する提言になっている。これだけの高名な学者であれば、単独の意見具申でも十分に耳かたむけるであろう。たとえばVogelが本年年頭に、日本はA4 60ページくらいさいて 戦後の平和的貢献と歴史的な反省を述べるべきという論説を出していて、大いに説得力があるものであった。しかし、今回は、連名のかたちで あえて 慰安婦問題にしぼって、出してきていることに なにか為にする不自然なものがある。この知日派の社会学者のひとたちは、ある特定の立場の企画者利用されているのではないかとさえ、感じる。本コラムでの指摘のように 河野談話もアジア女性基金にもふれず、定言文のなかで、慰安婦の強制については政府が噛んでいる十分な根拠をもっているとして、一方的な表現の印象さえあたえている。
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