2020年6月27日土曜日

皆さん、新型コロナウイルス感染症対策で、中小企業や自営業者がどれだけ死にかけているか知りたくはありませんか?

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香港科技大学の川口康平氏、日本大学の児玉直美氏、一橋大学の田中万理氏が「日本の新型コロナ対策は経済状況にどう影響を及ぼしているか?」と言うオンライン調査を元にした研究の継続のためのクラウド・ファンディングを募っている。はじまった直後で現時点ではまだまだ目標額に遠いので、旅行や外食や行く小遣いが余っている人は寄付をしてあげてよう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で経済が悪化していることは、飲食店等が閉鎖に追い込まれ、雇用情勢が悪化しているので肌感覚でも分からなくないが、定量的にどの業種がどれぐらい悪化しているのか、経営者の見通しはどうなっているのか、政府の経済対策は機能しているのか、不足している施策は何なのか分からないことは多い。

既に1回目の調査は行われているのだが、短期ではなく長期的な影響を見る意義は大きい。期待される成果として具体的な言及は無かったが、事務的にややこしい政府支援策の使い方が周知されたり、経営者の見通しが甘かった/悲観的過ぎたり、飽きや慣れが生じることなどにより、短期と長期で様相が異なることはありえる。

アンケート調査だけに、後から振り返ってもらうよりはリアルタイムに実施する方が精度が高い。特に、実績ではない予想についての質問はそうだ。科研などの予算獲得まで時間がかかるファンドよりも、(上手くいけば)クラウド・ファンディングの方が適している。千載一遇でもある。感染症によってではなく、感染症対策で経済が大きな打撃を受けるのは人類史上そうはないイベントであるし*1、スペイン風邪のときには社会調査や計量分析が十分に発達していなかった。

政府ではなく経済学者が独自に行う意義は大きい。政策に関わる事象のフォーマルな調査分析は重要だ。政治家は地元経営者などの陳情を受けていると思うが、陳情してくる業種とそうでない業種があったりと、陳情は声の大きな方に引きずられる。また政治家には入手した情報を正確に分析し、公表するインセンティブが無い。官僚も情報を集めていると思うが、しっかりしたデザインの調査が行われているかは定かではない。また、研究者と比較するとやはり分析能力に劣る。

調査研究だけに面白い結果が出てくるかは神のみぞ知るといったところだが、オリンピック開催可能性予測など、皆さんがどういう予想を立てているのか分かる娯楽性に優れた調査でもある。「5月中間レポート」を見ているだけでも中々興味深い。二ヶ月も自粛を強要*2されていて、旅行や外食や行く小遣いが余っている人はそこそこいると思うが、ぜひ寄付をしてあげて欲しい。

*1エボラ出血熱やSARSやMERSは、ここまで広域に広まらなかった。

*2ほぼ撞着語法(oxymoron; 矛盾語法)なのだが、ある種の同調圧力をよく描写しているので。

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