2019年5月17日金曜日

トランスジェンダー女性はスポーツにおいて女性ではない

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トランスジェンダー女性は身体的には男性なので先天的にシス女性とはまったく異なるし、スポーツを見ていたら疑いの余地のない事実なのだが、どうもジェンダーの問題だけを追いかけていくとこの明白な事実を見失いがちのようだ。

トランスジェンダー女性は女性なのだから女子スポーツに参加できなければ差別されていることになる…と言うような主張を見かけたのだが、スポーツにおける女性とは身体的な女性であるシス女性を指しており、性自認が女性であるか否かは問題ではない。

男女の腕力や敏捷性には大きな差がある。女子の陸上競技の日本記録は男子中学生の日本記録に劣る。サッカー日本女子代表チームは、トップ校ではない男子高校生のチームに大差で負ける。ゴルフや将棋、野球などのプロ団体には性別規定がないことも多いが、過去の女子選手の挑戦では良い成績を上げることは出来ていない。スポーツは成績に応じてプレー機会が変わるので、男女を混ぜたら女子選手のプレー機会が極端に減ってしまう。始める前から勝負事に勝つ機会が少ないのであれば、参加する気がわかないかも知れない。男性に比較して身体能力に劣る女子のスポーツ参加機会の向上のために、女子の競技会はある。

トランスジェンダー女性を女子選手にカテゴライズしたらどうなるか? — トランスジェンダー女性が上位を独占してしまいシス女子選手の不満がたまることが、先日、アメリカの高校スポーツで立証された*1。性別確認がまったくされない頃は、オリンピックでも身体的に男性と目されるソ連のプレス姉妹がメダルを独占した事例がある。参加資格疑惑が生じることになり、1968年からは国際的な大会では性別検査が行われるようになった。スポーツをするには身体的に劣るシス女性にスポーツの参加機会を与えることが女子の競技会の目的であるわけで、身体的には男性であるトランスジェンダー女性はもちろん、男性とは張り合えなくても女性は大きく凌駕するインターセックスも、排除するか機能制限せざるをえない。

近年はトランスジェンダー女性が女子として参加することが認められるようになった競技もあるが、厳しい制限がかけられている。例えば現在、国際陸連は男性ホルモンのテストステロン値が10nmol/ℓの制限をかけている*2が、近年またもや生じたインターセックスの選手に対応するために、さらに規制強化されることが決まっている*3。トランスジェンダー女性は薬剤でテストステロン値を抑制するか、先天的に男性選手と争える肉体を使って男性選手と競り合っていくかするしかないわけだ。現状の規制でもトランスジェンダー女性が女子の大会で上位独占するようなことでもあれば規制は強化されることになるであろうから、最終的に女子競技から全面排除になる可能性もある。

こういうわけで、スポーツの世界ではシス女性こそが女性であって、トランスジェンダー女性は女性ではない。米国のようにトランスジェンダー女性を女性選手と認めるのであれば、児童・生徒のスポーツも次第に身体能力に基づく規制がされていくことになるであろう。トランスジェンダー女性は数が少なく、まだ表彰台を独占することは無いようだが、制度を悪用する人物も出てくるはずだ。実際のところ男性は誰しもまともな医療診断なしにトランスジェンダー女性になれる*4ので、十分な規制が無ければ高校のときはトランスジェンダー女性を宣言をしてスポーツ枠で大学進学を狙い、大学ではシス男性に戻る人間が出てくることも予想される。

*1Students and parents demand a rule change after trans teen wins the girl's state championship

*2松宮(2016)「スポーツにおける男女二元制に関する一試論 : 性別確認検査における女子競技者の基準を起点に」国士館大学体育研究所報,35号,pp.19—27

*3陸上=CAS、セメンヤの訴え退ける 男性ホルモン値制限巡り - ロイター

*4自己申告に基づくの診断なので、医師の協力やノウハウ集があればいくらでも偽装できるし、トランスジェンダーといっても外科手術が必須と言うわけではない。

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