2018年6月27日水曜日

ブロガーHagex刺殺犯「集団リンチがそんなに楽しいか?」

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アカウントも隠せるはてな匿名ダイアリーで、他のアカウントに罵詈雑言を浴びせていたユーザーが度重なる投稿削除とアカウント停止に腹を立てて、炎上事件ブロガーHagex氏を刺殺する事件が発生した。ネットでのやり取りにおける怨恨が理由だとしては、被害者を選ぶ必然性が薄いなどと色々と困惑が広がっているのだが、怨恨ではなくもっと捻った動機のようだ。この刺殺犯の投稿の断片を見ていると、そこに彼が主張したい規範があり、彼が感じていた世界が見出せ、そして犯行動機が見えてくる。

1. 刺殺犯が不正義だと感じていたこと

削除された刺殺犯の投稿のキャプチャー画像を見ると「…にしか言及していないゴミクズが何をほざいているんだか。集団リンチがそんなに楽しいか」と言うものがあり、ネット界隈の集団による非難について不満を表明している。実際、炎上ブロガーのはあちゅう氏とイケダハヤト氏の擁護者として知られていたようだ。

集団非難、ネット・イナゴに苛立つ人々は少なくない。よく考えずに、事実を確認しないで、党派的にコメントを残す人々は少なからずいる。専門家に分類される人が、そのような軽薄な行為を行なっていることへの失望も見かけなくもない。異常者の犯行に思えるだろうが、刺殺犯が主張したかったことは特異ではない。

2. 刺殺犯が理解できなかったネットの規範

刺殺犯は、自分の罵詈雑言をたしなめられた事に対して、「他の罵倒を放置している」と反論している一方で、殺害動機を「俺を…通報&封殺してきたお前らへの返答だ」と告白している。つまり、数の暴力で自分の意見だけが抹殺されたと理解している。刺殺犯の投稿が削除されたのは、通報者が多数であったためではなく、投稿内容に罵詈雑言が含まれていたためで、勘違いでしかない。

だが、この勘違いを責められるであろうか。作家の菅野完氏がTwitterに規制されて困惑していた事例があるが*1、自分の侮辱行為に自覚的でない人は多い。程度問題もあって文中に数箇所、誹謗中傷があっても見逃されるケースは多く、違反とする境界は曖昧な所もある。また、誰かの政治思想が気に入らないという理由だけで、アカウント停止を狙って集団通報を煽る行為も散見されるが、多数になれば無理を通せると思い込んでいる人々は一定数いる。実際、集団で同一の弁護士の懲戒請求を行って問題になっている。

3. 刺殺犯の犯行動機は社会正義の実行

刺殺犯の目的は裁判で明らかにされるであろうが、(刺殺犯から見ての)ネット・イナゴのうちの誰かに危害を加えることで、安易に集団非難を行なっている参加者に、それが重大なことだと認識させると言うものであろう。単なる恨みによる犯行ではないと考える方が自然だ。被害者は大して炎上に参加していなかったようだが、追悼記事からしてイナゴの間で被害者の知名度は高く、刺殺犯がこの独善を遂行するためには、適切な標的であった。

4. 刺殺犯が理解すべきであったこと

いまさら考えても後の祭りだし、刺殺犯の身勝手な犯行は裁判官が厳しく断罪するであろうが、あえて刺殺犯が犯行に及ぶ前に理解すべきであったことを考えると、次の三つになると思う。

  1. ネット・イナゴもSNSの華であること。専門外のことや、専門に近い事でもいちいち調べたり、よく考えたりしてコメントするほど皆さん暇ではない。ネット界隈が賑やかである以上、いい加減なコメントが生じるのは必然だ。人間は関係性の動物ではあるので、イナゴの群れのような行動に出るときもある。しかし、寂しいよりは良いものだ。
  2. ネット・イナゴは大群に思えても、最大で数十人から数百人と言った程度で、それなりの規模のサービス運営者が配慮して運営ルールを曲げる規模ではない。特にはてなは真面目に対応しているサービスである。刺殺犯は、バカやアホや死ねと言わない限りにおいては記事が削除されたり、アカウントが凍結される事がまずないことを知っておくべきであった。
  3. 炎上自体を抑制する方法はあり*2、刺殺犯が不当に責められているように思える人は、そういう作法から外れがちなこと。炎上しているうちに心が蝕まれて情緒不安定になるケースもあるのだが、炎上を回避するには責められている人自身が立ち振る舞いを直す必要もある。刺殺犯が助けてあげられる事ではない。

集団非難に不快感を感じている人々は、刺殺犯に追随しないようによく心して欲しい。

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