2018年6月8日金曜日

中学生の息子が嫌韓ネトウヨになったら読ませたい10冊+α

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息子がネトウヨになって変な本の話を聞かされるとうんざり感を伴ったツイートを見かけたのだが、そういう事はよくあると思う*1

親としては教育を施しネトウヨで無くしたくなると思うのだが、どこかで恥をかかないとそうでなくならないから無駄と言う体験談も聞く。諦めるしかないようなのだが、何もしないと心が落ち着かないのが親心。ここは発想を逆にして、歴史などの本を紹介してガチ感を補強してあげよう。

1. 韓国併合への道 [紹介記事]
近現代の日韓関係史の出だしの部分の要点が把握ができる本。朝鮮民族の特性を安易に論じている所があるせいか、韓国研究者にはイマイチな評判なのだが、韓国人から見た視点もインプットできるし意外に中立的である。なお、著者は韓国から日本に帰化した人なのだが、なぜか韓国から入国を拒絶されている。
2. 日本統治下の朝鮮 ─ 統計と実証研究は何を語るか [紹介記事]
統計からイデオロギーありきの歴史観を批判している本。マルクス史観や民族主義的歴史観の結論ありきの通説を否定していく。近世でもない中世的な経済だった李氏朝鮮が、日本統治下で急激に開発されていくのがわかって、開発経済学の本としても興味深い。
3. 在日・強制連行の神話 [紹介記事]
最近、韓国で盛り上がっている徴用工問題とは何なのか、それまで問題にされていなかったのに、なぜ日本で1970年代後半から問題になり始めたのかが分かる本。終戦直後の在日韓国・朝鮮人のイメージが薄れる一方、在日韓国・朝鮮人も世代交代して昔の事が分からなくなったと言うのが主な理由だそうだ。嗚呼、あの社会学者もこのケースかと…分かる。
4. 慰安婦と戦場の性
従軍慰安婦問題について、包括的に書かれた本。倫理的な議論に関しては世代間ギャップがあるかもだが、実証的にはもうこの本が出た1999年に話が出尽くしている事が分かる。最近の左派の本を読んでも、慰安所経営者の日記の発見などに関わらず、法律などの解釈面でしか進展が無い。なお、最近の著者・秦郁彦氏はアグレッシブな発言をしているが、この本は中立的。
5. 韓国の族閥・軍閥・財閥 ― 支配集団の政治力学を解く
韓国にはチェボルと呼ばれる財閥があって、軍閥/政治家と癒着する事で社会に弊害ももたらしてきたと言われる。大統領が収賄などで逮捕されるのも、政治風土が関係している事は暗黙の了解のようだ。著者の池東旭氏が、韓国、そして日本にも否定的な感情を抱いているのが面白い。
6. 韓国現代史 ― 大統領たちの栄光と蹉跌 [紹介記事]
太平洋戦争前から2008年までを11の時代に区切り、それぞれの時代で李承晩、尹潽善、朴正煕、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博が何をしていたかが説明してくれる。読み物として面白い。大統領制をとっている事からか、韓国では政治家のパーソナリティが日本よりも重視される。歴代大統領のそれを把握しておく方が、政治界隈の話は理解しやすい。
7. 儒教とは何か [紹介記事]
朝鮮民族の考え方を語る上で儒教の影響は避けて通れないのだが、日本には学問として導入されたので、その宗教性はよく理解されていない。儒教で結婚式を挙げたという知人、思い当たるであろうか。しかし、韓国では儒教の冠婚葬祭も一般的で、国民情緒法や崔順実ゲート事件にも影を落としている。なお、本書は韓国を題材にした本ではない。
8. 韓国の軍隊 ― 徴兵制は社会に何をもたらしているか
韓国から来た留学生が「オレら戦車を燃やせるんですよ」と自慢するのを聞いた事がある人は多いであろう。日韓の違いは色々あるが、社会に対する影響を考えると徴兵制の存在は見逃せない。徴兵による2年間の軍隊生活によって、恋人との別れを経験する韓国人は少なくないようだが、日本では同種の社会慣習は無い。日本でも徴兵制の復活を言い出す女性政治学者もいるわけだし、実例の本を一つ読んでおくのは悪く無いであろう。
9. 民族とネイション ─ ナショナリズムという難問 [紹介記事]
日韓問題をナショナリズムで説明しようとする評論家も多いのだが、分かったようで分からない話になっている。韓国のナショナリズムが整理されていない事もあるのだが、そもそも論じている人がナショナリズムを理解していな気配がある。一度、韓国から離れて、広い視点で民族やナショナリズムを捉えなおしておくべきであろう。
10. 「アジア動向年報」の韓国の章の政治の節
毎年の話で時系列的なつながりは弱いが、短くまとまっているのでバックナンバーを含めてせっせと読むのが良い。
韓国を専門とする政治学者の本を読めばいいはずなのだが、情勢の動きが激しいので最新の本を読むしかなく、しかも来年のその見解が維持されているかは分からない。「韓国大統領経験者はなぜ、みな不幸な末路をたどるのか」と言うようなネトウヨ主張に、民主化以降の罪で逮捕・有罪になった人はいませんよと反論していたら、李明博氏と朴槿恵氏が逮捕・起訴されて唖然としている韓国研究者には、心の底から同情する。
11. 低成長時代を迎えた韓国の社会経済的課題
アジア経済研究所の調査研究報告書。韓国の経済問題、良くも悪くもノリで話をしている人々が多いので、手堅い議論を抑えておこう。「アジア動向年報」の韓国の章の経済の節をせっせと読むのも良いが、こちらは時系列的なつながりを把握するのに訓練がいる。
12. 国立国会図書館「調査及び立法考査局刊行物」「レファレンス
日本も韓国も結局、戦前の法体系や行政機構を継承しているところがあって似ているのだが、大統領制や憲法裁判所など明らかに日本にないものもあるので、制度面での違いがあると言うのは心にとどめておこう。細かすぎる話なのが新書が無いが、国立国会図書館が出している文献の中で韓国に関するものは確認しておくべきだ。

これぐらい読んでおけば*3、韓国を悪く言うときに、それなりの理由を付与することが出来るであろう。さらに、嫌韓商売をやっている人の本が味気なく感じるようになるはずだ。韓国研究者の「オレも韓国を批判しているが、オマエラに韓国を悪く言われたくない」と言う心理もちょっとは分かるかも知れない。

嫌韓ネトウヨとしては、こんなもんで良いのでは無いであろうか。地域研究者になるには朝鮮語を学び、さらにマニアックな情報を集められるようになる必要があるし、計量分析や数理分析を駆使してポリティカル・サイエンスや経済学風のことを言うには*2、分析ツールに関する知見がいるし、比較政治学のような事をするのであれば、他の国の事を多く知らないといけないが、よほどの天才でないと人生に支障が出る。

ところで、父が嫌韓ネトウヨで困った場合に読ませる本はないので、そのときは諦めよう(´・ω・`)ショボーン

*1聞いた事は無いが、娘がネトウヨと言う事例の可能性を否定するものではない。

*2関連記事:経済学を知ったかぶりするための独学方法

*3防衛に関して抜けがある。良書を緩募であるが、経済成長に伴う韓国軍の強大化(ただし中国人民解放軍の方が圧倒的に伸びが良い)ことを無視しているのはお断りである。

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