2017年3月21日火曜日

豊洲市場の地下水の汚染濃度上昇で、安全なのに政治的に難しくなった築地からの移転

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専門家会議主導による第9回目で異常検知された調査井の再検査によって、豊洲市場の地下水の汚染濃度上昇が確認された。調査井から水を抜き取るパージ後、採水までおく時間を色々ととって確認したところ、採水までの時間が分析結果に与える影響はほとんどない事も確認された。さらに、第8回目までの実施手順について、問題となる部分は無かったと結論された。

第9回目の数字は土壌が混入したための異常値説も、第8回目までの低い数字はパージ後採水までの時間が長すぎた説も否定され、地下水位の制御システムの稼動が地下水をかく乱した結果、もともと土壌汚染の程度が高いところの地下水の汚染濃度が引き上がったと言うのが現時点での有力仮説になるようだ。土壌汚染の除染事例としては興味深いことになる一方、政治的には収拾が難しい事になっている。

環境問題として考えると、飲料にも散水にも使わない地下水の汚染は、安全性を左右しない。地下から大量の汚染物質が気化して上昇してくるわけでもない。もともとどうでも良い話である*1。法令上も形質変更時要届出区域なので、特に問題はない。しかし、東京都は(飲料水などの基準になる)地下水環境基準を目指すと宣言してきたわけで、自分が立てた目標に到達できないと言う事態に陥った。反対派を黙らせるために、対策工事による環境改善の目標値を引き上げたのだと思うが、自縄自縛である。

安全面から考えれば、築地市場の老朽化やそもそもの設備から、豊洲市場への移転が妥当なのはもはや自明であろう。東京都が自分で立てた基準をどう放棄するのか、それとも豊洲市場を放棄するのか見物になっている。地下水の厳しい目標は石原都政のときに策定されたもので、小池都知事が示したものではないから、石原氏ら当時の行政の責任者を糾弾しつつ、環境問題の専門家の助けを借りて目標を取り下げるのが適当だと思うが、小池都知事は豊洲市場に懐疑的な見解を述べてきたので、政治的には易しくないかも知れない。

なお、世論調査による個別の政策への支持率は、かなり重要なもの以外は政治家個人の支持率とはつながらないと言われている(関連記事:世論調査なんて無視しておっけー、有権者なんてついてくる)。小池都知事には、華々しく転進することをお勧めしたい。

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