2016年9月25日日曜日

人工透析は健康保険の対象外とする前にできること

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アナウンサーの長谷川豊氏の人工透析は健康保険の対象外とすべきと言う主張*1について、多くの非難が寄せられていたようだ。表現がポエムで論点が分かりづらいのだが、不健康な生活が腎機能の低下をもたらしたのであって透析患者の多くは自業自得であり、健康な生活を続けている人に余計な負担をかけていると主張したいらしい。

保険に関してはモラルハザードが常に問題になるし、健康保険の適用範囲に関しても高額な抗がん剤など議論は色々とある。不健康な生活による透析患者が増加していると言う問題意識も、広く共有されているようだ。検索すると、「我が国に透析患者が多い理由は種々考えられる.中でも環境要因(肥満,メタボリックシンドローム)によるものが今後の対策を考える上で重要である」のような話は出てくる。問題意識自体は公序良俗に反するとも言い難い。ただし、長谷川氏の主張を支持すべきとも言えない。健康保険の適用範囲を予防不可能なモノに絞るべきかと言うと、そういうコンセンサスは無い。

事故にしろ、怪我にしろ、突き詰めて考えれば患者に何らかの要因はある。自業自得が原因であるからと言って保険の適用から除外したら、保険を利用できる局面はなくなるであろう。急性アルコール中毒は保険適用外にすべきと言う議論は、聞かない。相対的に摂生する人が損であっても、保険無しよりはずっと良い。また、金銭でみた期待値では摂生をしている人の方が損になるが、摂生している人の方がリスク回避的であろうから、保険の期待効用は高いであろう。自業自得が原因の病気や怪我も、大きなモラルハザードが引き起こされない限りは、健康保険の対象として許容すべきのように思える。摂生に勤めた人から不摂生な人への所得移転が生じるわけだが、健康保険を当てにしたモラルハザードが無ければ、社会全体でマイナスとも言えない。さらに自業自得が原因か、厳密に判別する事ができるとは限らない。

人工透析が健康保険の対象だからと言う理由で不摂生を行なっている人々がどれぐらいいるかは調査しないと結論は出せないが、病院代がタダでも通院は憂鬱な事だし、費用の他に生活に出る支障を考えると、そんなにはいないのではないかと思う。透析患者になったら死ぬと分かれば摂生する人もいるであろうが、人間、遠い未来のリスクは低く評価しがちであるので、そうはいないであろう。だから人工透析は健康保険の対象外としても、そう大きく不健康を抑制する事は出来ないと思われる。健康保険料の負担を減らし、公平性を改善するためには、他に出来る事を考えた方が良い。

ピグー課税はどうであろうか。バターなどにかける脂肪税、スナック菓子税、年に一回の健康診断の結果で税率が変わる体脂肪税*2(先天性疾患による免税措置あり)などが考えられる。取った税金を健康保険収入としてしまえば、不摂生で健康リスクを高めている人は不利になる。他にも健康な従業員が多いほど法人税を免除するような制度を作っても良いかも知れない。

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