2016年6月22日水曜日

ビットコインへの興味が薄れて、ブロックチェーンへの関心が高まる

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ビットコイン(Bitcoin)は中央管理機構を持たないP2P型の電子マネーで、2013年から2014年にかけて注目されていた。取引所の破綻があったせいか、決済に時間がかかるなどの利便性に問題があるためか、それとも税制上不利な立場に置かれたせいか*1、本格的には普及せず、既に忘れ去られつつある存在となっている。ブームとはこういうものなので意外性は無いが、なぜかその要素技術であるブロックチェーンへの興味関心が高まっていて、気味が悪い。

2013年から2016年5月までのGoogle検索の検索キーワードの統計を見てみよう。ビットコインは2014年をピークに検索されなくなっているが、ブロックチェーンは2015年の後半から注目を集める事態になっている。

P2P型の電子マネーは金本位制が好きな保守層にとってはワクワク感のあるソリューションであろうが、ブロックチェーン自体は直近の取引データのハッシュ価を、次の取引データに埋め込む事で、直近までの取引の改変を防止するシンプルな仕組みで、そう調べる事は無い。勘定系なのでバグが大損害を引き起こしうるが、技術的に朝から晩まで学ぶべき何かがあるわけではない。

応用範囲も、発想としてはプログラムのソースコード管理などで使われる分散バージョン管理システムで既に電子マネー以外にも使われているとも言えなくも無いが、野村総合研究所が作成した報告書*2を見ても、決済に関わるものに限られる。どうもバグで損害を出した自律分散型投資ファンドThe DAOも、決済システムとしての側面が強い。

ビットコインで指摘された欠陥が無くなったりして、何かイノベーションがあったのかと思いきや、そういうわけでは無いようだ。ここに来て、フレームワークや新分散型電子マネーがここに来てリリースされており*3、そこで売り文句としてブロックチェーンが使われているので注目が集まっているのであろう。しかし、P2P型決済サービスを利用する利点は示されていないように思える。安いが売りのサービスもあるのだが、ブロックチェーンの保持に大量のリソースが要るので、ちょっと胡散臭い。また、普通のウェブによるサービスで済むような、むしろそちらの方が利便性が高そうなクラウド・ファンディングにも使われている。密貿易に使うのであれば、政府監視を逃れることができるので、便利そうではあるが。

一介のプログラマから見ると、今の状況は危うく感じる。P2P型決済サービスの欠点は色々と露呈しつつある。末端ユーザーから見ると決済に時間がかかる上に、実物貨幣との交換レートが安定しないのは困る特性であろう。システム開発者から見るともっと深刻な問題があり、徐々に露見しているビットコインのスケーラビリティの無さは、少なくとも現段階では現実の通貨に取って代わるほどのイノベーションでは無かった事を示唆している。ブームにのってベンチャー・キャピタルからお金を引き出すのが好きな人々が、色々と画策しているのでは無いであろうか。

*1仮想通貨の交換所からビットコインを購入すると、消費税がかかると言う政府見解が出されている。ただし英米EUでは、VATの課税対象にはならない。

*2平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)報告書

*3MSのProject Bletchleyが目に付いたのだが、『2016年に「来る」ブロックチェーン・プロジェクト10選』あたりを見ていると、無数の追随者が出ている事が分かる。

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