2016年5月21日土曜日

日本における上昇婚

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日本人女性が上昇婚志向で結婚できなくなっていると言う主張に、社会学者の山田昌弘氏が著書で「社会的地位、生活環境の変動を目的として、経済力の高い婚姻相手を選定する」ことを「上昇婚志向」と定義しており、その定義から結婚前後の妻の消費水準の変化を考えると、上昇婚志向では無いとする批判がされていた*1。何かがおかしい。外部労働を辞めたら消費水準は落とさざるを得ないかも知れないが、外部労働を辞める余裕が生まれているはずで、そこは評価しなくて良いのであろうか。そもそも山田氏の上昇婚の定義が本当にそのようなものかが疑わしい。

文献と該当箇所が特定されていないのだが、山田氏の「結婚の社会学―未婚化・晩婚化はつづくのか」を参照すると、第4章(P.66--97)にハイパーガミー(Hypergamy; 女子上昇婚)についての議論があった。カーストのような身分制度の無い日本で、どのように定義づけるのか。残念ながら上昇婚に明確な定義は与えられていないのだが、父親の学歴と収入をベンチマークにして、それ以上が望める場合を上昇婚と見なしている。つまり、山田氏の定義を用いる限りは、夫と比較すべきは妻の父親であって、妻ではない事になる。

さて、夫婦それぞれの社会階層を、夫婦の学歴・年収を基準に取るネット界隈の定義と、夫と妻の父親の学歴・年収を基準に取る山田氏の定義は、どちらが適当なのであろうか。男女の役割分担がある社会では、男女の年収や学歴の差では社会階層の違いは示す事ができない。今の日本も結婚して子供ができるとパートタイマーなどで待遇を悪くして働く女性は多く、個人の年収で社会階層を示すのは無理があるであろう。独身女性の生活水準は、父親の収入が決定しているそうだ。山田氏の定義の方が日本の社会には良く適合している。

もっとも、上昇婚の定義をどちらのものにしても、女性の上昇婚志向は変わらないように思えるし、それが結婚を抑制している所も同じであろう。配偶者への要求を引き下げる方が結婚できる確率が高くなるのは、間違いの無い真実である。何でも結婚すれば幸福とも言えないであろうけれども。

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