2014年1月16日木曜日

官僚制度と効率性

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法と経済学の重鎮で、シカゴ学派で知られるポズナーが、官僚制度と効率性について解説している*1。抽象的に官僚制度を批判する事が多いわけだが、権威が官僚制度をどう見ているかは確認する価値があると思う。大雑把に内容を紹介してみたい。

曰く、官僚制度とは、訓練された非政治的な専門集団による裁量を最小化した文書主義に基づく多層的な階層型組織による行政のことをさす。常に口頭での指示命令が不可能なほど巨大で複雑で、米政府のように一つの組織に複数の官僚制度が存在することもある。

官僚制度は単純な定型作業に効果的なシステムである一方で、安い給与からコンピューター技術者など高給をとれる専門家を維持する事に向かず、複数の官僚組織が対抗するため協力関係が築けないこともあり、オバマケアのウェブサイトのような失敗を発生させやすい。議会も政治的都合があって縦割り行政の改善には乗り出せない。

また、組織の目的とは別に、それを支える官僚自身にも収入、権力、雇用保障、昇進、楽な仕事など個人的都合があり、また情報を抱え込むことで議会に影響力を発揮して個人的都合の実現をはかる。例えば、余剰人員や無能力者の解雇を難しくしているそうだ。法文として解雇規定があっても、官僚の数は肥大化しやすい。

ただし言うほど政府と民間で問題が広がっているわけではなく、結局は効率的な組織管理の方法になっている。ただし官僚制度は複雑な機能であり、その病理は複雑さによって増し、複雑さは政府と営利組織の間で増して来ていることが、深い所で反映されてきている。つまり、世の中が複雑になっていることが、官僚機構の問題を大きくしているそうだ。

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