キャロライン・ケネディ駐日大使が「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています。」とつぶやいた事に関して、あちこちで話題が広がっている*1のだが、経済評論家の池田信夫氏がベトナム戦争とインディアン虐殺を持ち出して非難を繰り返しているのだが、頓珍漢なことになっている。
- 米国が過去に悪行を行っていたからといって、米国が他国の行動を非難してはいけない理由にはならない。
- 米国が自国の過去を全て肯定しているかと言うとそうではないから、ベトナム戦争にしろ、先住民への暴力にしろ、非人道的行為を肯定する理由にはならない。
- 過去に人間と見なされなかった先住民への非人道的行為を否定したら、人間ではないイルカへの非人道的行為も同様に否定できてしまう。イルカ漁反対派は先住民とイルカを重ね合わせているわけで、池田氏の議論では彼らの議論をサポートしてしまう。
- 事実認識に誤りがある。ベトナムに軍事顧問団を送ったのはアイゼンハワー政権で、大規模な軍事介入を開始したトンキン湾事件はジョンソン政権のときだから、ケネディがベトナム戦争を始めたとは言えない。
議論はイルカ漁が人道的か否かなので、牛・豚・鳥とイルカの扱いを変えるべき理由を聞いたり、アメリカの北方先住民(エスキモー)のクジラ漁と大地のイルカ漁との違いを追求したりするほうが建設的であろう。クジラとイルカはサイズしか違いが無いし、彼らは両方の捕獲に反対している。過去をなじりたいのであれば、米国にある捕鯨博物館*2の事でも取り上げればよいのだと思う。
イルカやクジラは賢くて優しいなんて言い出せばしめたもので、他の動物と比較して頭が良いとは言えないとか、実は凶暴で危ないこともあると言う最近のニュース*3を紹介できる。
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