2013年11月14日木曜日

薬のインターネット販売について知っておくべき三つのこと

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薬のインターネット販売が規制緩和され、原則として市販薬(OTC医薬品)は解禁される事になったのだが、処方箋が規制されたままであることを批判している経済評論家がいる(ニューズウィーク)。市販薬は約6,000億円、処方箋は約9兆円と市場規模が違う*1ことから、薬剤師の既得権保護が行われていると主張したいようだ。薬剤師は「医師の処方箋のとおり薬を出すだけだ。昔のように調合するわけではない」とまで言っている。

このマルクス経済学風味の特権階級非難に同調したい人も多いようだが、その前に三つ、理解しておくべきことがある。

  1. 処方箋は、麻薬や向精神薬などを含む薬の管理機能を持っている。電子媒体でやり取りするには、認証機構や購入履歴の管理が必要になる。
  2. 処方薬のネット販売を行っている英国とドイツでも管理・規制は行われている。米国では現状では野放しだが、規制強化の方向で制度整備が進んでいるようだ(伊藤(2011))。
  3. 薬剤師は、今でも調合を行っているし、処方箋の内容について疑義照会を行い、処方変更を行う事もある。処方箋受付時、患者の薬歴確認時、服薬指導の時などに、疑義が発覚するそうだ(薬事日報ウェブサイト)。

以上の事実関係を考慮した上で、今回の規制緩和の程度を薬剤師の既得権保護だと主張するには、かなりの論を重ねる必要があるであろう。

医薬品販売の規制緩和(2006年改正・2009年施行)を「2008年に決まった薬事法改正」と書いてしまったり、健康食品や医薬品の販売サイト「ケンコーコム」が流通拠点をシンガポールに移した*2のを「ウェブサイトを移転」と書いてしまったのはマイナーな所だが、規制が存在する理由ぐらいは調べておかないと軽薄な議論になってしまう。

3 コメント:

くがこば さんのコメント...

貴エントリの「伊藤(2011)」のリンク先が、「*1」に記載の「医薬品産業ビジョン2013 資料編」と同じものになっているのは「マイナーな所」ながら、国立国会図書館調査及び立法考査局社会労働課の伊藤暁子氏の論文「医薬品のインターネット販売をめぐる動向」〔『調査と情報ISSUE BRIEF』No.727(2011.11. 1.)に掲載〕を読むと、貴エントリにおいて「米国では現状では野放しだが、規制強化の方向で制度整備が進んでいるようだ」とされている米国では、確かに「VIPPSと呼ばれるインターネット薬局の認証制度を発足させた」ようですが、「インターネットによる医薬品の販売を直接規制する連邦政府の法律はない」状況は変わらず、FDAが「VIPPSにより認証されたインターネット薬局を選択するよう推奨している」にとどまるようです。
ともあれ、同論文の「付表」によれば、処方せん医薬品」のネット販売について、世界の現状は、アメリカは「可」であり、イギリスは「GPhCに登録したインターネット薬局のみ販売可」、ドイツは「許可制」と基本的には認められているにもかかわらず、日本だけが「不可」とされているのです。
なにも世界の動向に無批判的に追従する必要はないとはいえ、まず基本原則を「可」と改めた上で、貴エントリが指摘される3つの点にどう対処すべきかその方法を考えたらいいのではないでしょうか?

uncorrelated さんのコメント...

>> くがこば さん
御指摘いただいたリンク・ミスは直しました。
処方箋についても、規制方法を策定の上、ネット通販可能にするべきでしょうね。

買物用 さんのコメント...

疑義なんて数値を含めて大体が誤字脱字だし
やっている作業は大体が
読む→システムに入力→注意が出たら確認する
はっきり言えば高校生のバイトでも出来るような作業になってる

人的資源の無駄遣いだといえば確かにそうではある
ネット販売もそうだけど対面販売に関しても独占資格は必要ないし
研究職以外の薬剤師はいずれはいなくなるのではないかな

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