2013年11月16日土曜日

通名は在日特権と言えるのか?

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在日韓国・朝鮮人の特権(通称、在日特権)の存在を巡って、慶應大学の竹田恒泰氏と経済評論家の池田信夫氏の間で議論がされている*1

こういう議論は議論の中心である特権が、誰が持つ誰に対して持つどのような優越した権利なのか明確にして欲しいのだが、政治の領域なのか曖昧なまま言い合っている。特に在日特権の場合は、日本人に対して優越するのか、他の外国人に対して優越するのか整理を行う必要があるであろう。

竹田氏、池田氏は「通名」を議論しているのだが、これは外国人の社会生活上の利便性を考慮した制度で、在日韓国・朝鮮人だけに認められた制度ではない。日本人には優越しているが、他の外国人には優越してはいないわけだ。

外国人の場合、日本社会が想定もしていないような表記(e.g. アラビア語)や長い名前を持つときがあるので、実の所は通名を使ってもらわないと日本人が困るケースがある。そういうわけで、今は住民登録票に通名を記載*2できるようになっている。

通名が在日韓国・朝鮮人が持つ優越した権利かと言うと、在日外国人全員に許された権利なので、通名は在日特権とは言い難い。竹田恒泰氏の主張は説得力が無い。しかし、金融機関の口座などの開設が出来る*3ため、日本人が用いる通称とは異なる。池田信夫氏の認識もおかしい。

特別永住者と永住者を制度的に分け、さらに特別永住者は国外退去となる条件が限定されていると言う明白な特権もあるのだが、どうして通名に問題関心がいってしまうのか。なお特権だからと言って無くすべきと言うものでもないので注意されたい*4

*1「頭おかしい自称皇族」「もっとまともかと…」 竹田恒泰氏VS池田信夫氏、「在日特権」で激突 (1/3) : J-CASTニュース

*2以前は外国人登録原票に記入するものだった。

*3現行制度では通名と同時に本名も確認されるので、通名は司法に対する匿名性を意味しないことには注意する必要がある。

*4特権は全て悪と言うような国語力の低い認識の人もいるが、必要に応じた制度であれば問題ない。特別永住者の制度の場合は、人道的に必要な制度でもあったし、日韓法的地位協定などの外交的な背景もあり、是非が明白と言うわけでもない。

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