2025年6月27日にデジタル庁の「ガバメントクラウドにおけるモダン化の定義」が修正され、自治体システムのガバクラ移行の必須要件ではないと明記された。この文書、技術的に頓珍漢に思える部分が多数あるので何度か検証してきたが*1、国語的にも奇妙だ。
2025年7月12日土曜日
2025年7月11日金曜日
デジタル庁の日本語能力 — 使いまわすスローガンは慎重につくろう
「デジタル庁では、デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指します。」と言うスローガンが理解できない。サービスを選ぶのは誰であろうか。ここで言うサービスは、公共サービスのことで、情報サービスのことではないと理解してよいのであろうか。
2025年7月3日木曜日
ジェンダー法学者の島岡まな氏の話を聞く前に知っておくべきこと
ジェンダー法学者の島岡まな氏へのインタビュー*1が公開され、そのはちゃめちゃな主張が多くの人の困惑を招いている。今回は具体的な論評を置いておいて、インタビューを読む前に知っておくべきことを列挙しておきたい。
「疑わしきは罰せず(in dubio pro reo)」は元がラテン語だけに日本だけの話ではなく、フランスでも同様。また、それは被害者に厳しくあたるためではなく、検察官の横暴を抑制するための原則。性犯罪は密室での行為になるため、現実としては推測に頼る部分もあり、有罪判決後に冤罪や狂言が発覚した場合もある*2。
2025年6月30日月曜日
統計学教育の苦しいところ — 統計学ユーザーの皆さん、クロス表の独立性検定の統計量がなぜχ二乗分布に従うと看做せるか説明できますか?
「クロス集計表を作るのは簡単だけれど、カイ二乗検定の説明になると難易度が数段上がってしまう」と言うツイートを見かけた。まさにその通りで、クロス表の独立性検定はよく見かける一方で、その説明は難しい。
クロス表は二種類の因子の組み合わせごとの度数をまとめた表のことで、独立性検定とは二種類の因子に相関が無いと言えるかを調べる方法だ。共変量を統制できないので効果的に利用できる場面は限られるが、入門レベルの教科書や学部の講義ではよく紹介されている。
2025年6月26日木曜日
NENENENE@研究さんのSowell (2004)の紹介がハルシネーションになってしまっている件
アファーマティブアクションなどDEI施策批判者で、英文雑誌に論文を載せてしまうNENENENE@研究氏が、「欧米先進国で「女子枠」「黒人枠」「地方出身者枠」のような選抜方式になっていないのはアファーマティブアクション(AA)は支援対象の中で最も恵まれた層が得をするという事実があるからです(Sowell,2004)」とツイートし、統計学と経済学の博士号を持つ大学教員のマクリン氏に、Sowell (2004)は事実を示したと言える論証を行っていないと批判されている(togetter)。
2025年6月25日水曜日
2025年6月22日日曜日
2025年6月21日土曜日
2025年6月19日木曜日
デジタル庁クラウドチームが説明しようとしないIaCを導入する本当の意義
デジタル庁クラウドチームはモダンなシステム構築の手法としてIaCの利用を勧めている。しかし、これまた説明に具体性がなくよくないので役に立つのか疑問に思われている。
IaCは宣言型プログラミング言語でインフラストラクチャーのリソース配置を記す技術(e.g. terraform)の総称で、クラウド事業者のサービスやコンテナオーケストレーションツール(i.e. Kubernetes)にそのコードを書いたテキストファイルを読み込ませることで、クラウドの設定を行うことができる。
デジタル庁クラウドチームの推すメッセージキュー(バッチ処理のイベントドリブン化)が有用になる場面
デジタル庁テックブログの「ガバメントクラウドにおけるモダン化の意味と定義」の説明がよろしくないので「それ何の役に立つの?」と言う反応が出てしまっているメッセージキュー(バッチ処理のイベントドリブン化)なのだが、困ったときに上手く使うと便利なので紹介しておきたい。
業務システムは、ウェブアプリなどのオンライントランザクション処理(OLTP)と、バッチ処理に大きく分かれる。OLTPでは入力してから3秒反応ないと利用者が困惑すると言われ、30秒から60秒以内で処理を完了しないと、だいたいのミドルウェアの標準設定でリクエスト・タイム・アウトになってしまう。一方、バッチ処理は原則として時間制限がない。