2016年2月6日土曜日

想定通り右往左往するインドネシアの高速鉄道計画

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中国案に決まったと思われていたインドネシアの高速鉄道計画(東洋経済)が、暗礁に乗り上げているようだ。最終的に二大主要都市であるジャカルタ-スラバヤ間を結ぶ計画で、まずはジャカルタ-バンドン間の路線を造るものだが、もともとは日本が関わってきた*1のを、入札が停止された後に相対契約と言う不自然な形で中国国営企業が契約に漕ぎ着けた。こういう経緯からネット界隈では中国が悪いように言う人が多いようだが、インドネシア側にかなりの不備があるように思える。むしろ、インドネシア側の想定通りに右往左往しているのでは無いであろうか。

2016年2月3日水曜日

通信社の記者から見たインドネシア

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ちょっと古めの新書なのだが、『インドネシア―多民族国家という宿命』を拝読した。開発途上国の本と言うと、やはり地域研究者が書いたものが多い*1のだが、これは共同通信社の特派員が書いたもので、時事的な話題がつらつらと書いてある。全体を通したメッセージは明確ではないのだが、インドネシアは多民族国家でアチェ、東ティモール、パプアなどの民族紛争を抱えて来ており、またイスラム国家としてのあり方についての考えの相違などから、アルカイダ等が問題になる以前からイスラム過激派が存在しているので、まだ民族を超えたインドネシア人としてのエスニシティが十分に確立されていない主張したいようだ。

2016年2月1日月曜日

日銀風マイナス金利と量的緩和の両立は可能なのか

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変則的で運用での裁量余地が大きいものだが、日銀が日銀当座預金にマイナス金利を導入する事を決定した(日銀)。一方で、量的緩和の拡大も続ける事を約束している。既に各所から指摘されているのだが、この制度と量的緩和を両立させるのは困難かも知れない。日銀当座預金の金利設定がプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利の三段階になっているため、日銀の国債の買値に関わらず、十分な国債購入が出来ない可能性が出てくるのだ。

2016年1月29日金曜日

ミクロ経済学のマクロ的基礎

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経済学と言えば、需要曲線と供給曲線が交わる図を思い浮かべる人は多いと思う。教科書では価格規制などの政策効果の分析をしたりするのだが、実はこの図には大きな仮定がある。分析している財の支出に占める割合が小さい事を理由に、所得効果が無視されているのだ。

ミクロ経済学ではスルツキー分解として習うが、価格の変化は代替効果と所得効果による需要の変化をもたらす。電気代が一定で、灯油価格が下がったときの暖房を考えよう。まず、エアコンではなく、灯油ファンヒーターを使うようになるはずで、これを代替効果と呼ぶ。次に、電気代と灯油代が少なくなって余裕が出来ることから、暖房を良く効かせるようになるはずで、これを所得効果と呼ぶ。

2016年1月20日水曜日

社会学者とその参照論文の「出生率をめぐるパズル」への回答の違い

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社会学者の筒井淳也氏の『出生率をめぐるパズルと、それに対する「答え」』と言うエントリーが流れてきた。国際比較をすると女性労働参加率と出生率は逆相関する傾向があったのだが、1990年ぐらいからそれが変化し順相関になった現象をパズルとして捉えているのだが、この理由の説明の細部において、筒井氏が言及した論文と、筒井氏の説明に食い違いがあるので指摘したい。細部とは言え、政治的には重要なポイントだと思う。

2016年1月19日火曜日

ある社会学者の社会的分断の解消論について

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連合総研の機関誌『DIO』311号に掲載されていた社会学者の筒井淳也氏の「社会的分断を超えて」と言うエッセイに気になる点がかなりあったので指摘したい。労働問題の専門家の濱口氏のように、腹ふくれ満ち足りたブルジョワの息子の手すさびみたいな議論とは言わない*1が、ロールズの正義論を持ち込んでまとまりが悪くなっているし、藁人形論法に思える箇所が多々ある。そもそも筒井氏の主張の正当化に、社会的分断と言う概念は必要なのであろうか。

2016年1月14日木曜日

マイケル・サンデルの経済学批判

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日本ではNHKのテレビ番組「ハーバード白熱教室」で有名になったマイケル・サンデル教授は、経済学批判に熱心なコミュタリアンとして知られている。単に批判的と言うわけではなくて、経済学者の目に付く所で堂々と批判している人で、経済学の学術雑誌にも寄稿している強者だ*1。著作を読む気力は沸かないのだが、それが短い論文だったので読んでみた。

2016年1月3日日曜日

空っぽのリベラルの心に魂を埋めるために

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日本で「リベラル」を自称する人々の思想的背景は、大学で習うような伝統的な哲学や倫理学とは関係がなく、社会運動をしていく中で培われたモノだと言って良いと思う。この傾向に問題を感じる「リベラル」もいるらしく、その主張を正当化するために倫理学方面の議論を参照しようとしているのだが、浮いた感じの議論になっていて宜しくない。流行りものに取り付かれていて、伝統的議論からの乖離してしまっている。少しはまともな議論が出来るように、簡単な文献を紹介してみたい。

ドイツ近代史を手軽に確認するための四冊

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自分と政治的意見が異なる人間を、安易にレイシストやヒトラーと罵る左派の人々はよく見かける。あまりに安易にレッテルを貼るので、レイシストのヒトラーがどういう行為を行ったのか、ヒトラーが権力を握るまでのドイツ政治がどのような経緯を辿っていたのか、どうも彼らは良く理解していないようにすら感じる。逆に、安易に外交的妥協を批判する人々もいるのだが、対外強攻策を突き進んでいったドイツがどういう結果になったのかが、顧みられていないのが気になる。そういう自分も流れとして追えているわけではないので、新書四冊でドイツ近代史を確認してみた。何だかんだと現代の政治や思想に影響を与えているドイツ近代史が、こういう事になっているのだと分かるので、ネット界隈の右派や左派の人々にお勧めしたい。

2015年12月29日火曜日

「慰安婦問題妥結」は韓国世論の試金石

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従軍慰安婦問題に関して、日韓政府が外交的な合意に至った*1。「最終的かつ不可逆的な解決」と言いつつ、韓国側の要請で合意文書の作成は見送られており*2、自信の無さが浮き彫りになっている。韓国メディアは好意的に報道しているが、野党や挺対協ら市民グループは反発をしており*3、韓国世論がどう動くかが気になるところだ。1993年の河野談話は挺対協らの反発により、韓国では受け入れられなかった。今回の合意は、20年経過して挺対協の影響力が落ちていないか確認する試金石になる。