ガバメントクラウドなど*1の利用に関する「地方公共団体情報システム非機能要件の標準」*2に、媒体での外部保管及びネットワーク経由での遠隔バックアップが追加されたと話題になっていた*3。
既にこれまでの(もしくは、そうだと思っていた*4)要件に沿って開発中なので、このタイミングで要件を追加する必要があったのか、追加コストや具体的なソリューションをどうすれば良いか、困惑を招いている。
インターネット上で話題になっている事件を、理論とデータをもとに社会科学的に分析。
将棋の女流棋士がタイトル戦のひとつで順位戦と連動している白玲戦で5期タイトルをとったら棋士になれる制度に関して、「ガラスの天井」と言う言い回しの誤用が多く観察された。
ガラスの天井は役員への昇進など、その条件が不明瞭なときに使うもので、将棋のプロ棋士編入試験のように合格条件と、それを満たしているか否かの判定が明確な場合は、使えない。目に見える壁で、透明とは言えないからだ。
高名な情報量規準主義者の主観ベイズ統計学への誤解を受けてか、統計学を専門としない数学者が、ベイズ意思決定理論における小さな世界(small world)と言う特徴を3年間ぐらい繰り返し批判している*1。しかし、ベイズ以外のあらゆる数理的分析においても小さな世界を分析することになるので、殊更、ベイズ統計学の欠陥のように取り上げるのはミスリーディングだ。
石破総理が戦没者追悼の式辞で反省という言葉を使ったことで「保守」界隈が怒っているのだが、どうも国語的に問題がある。反省は、罪を認めて償うというよりは、過去の過ちから学ぶという意味に近い。日本保守党の百田尚樹代表が「今を生きる日本人がその罪を背負う必要はありません」と非難していたのだが、過去に学ぶと言う事は、罪を背負うと言うことではない。
熟練プログラマが生成AI(LLM)を使うと生産性が低下するという論文(Becker, Rush et al. (2025))が、やはりそうか感をもって受け止められていた。
生成AIは最強のコピペ厨なのだが、コピペ厨の域を未だに脱却できていないので、意外ではない。実際のところ推論などはしていない(Shojaee et al. (2025),Malek et al. (2025))。現状の生成AIはハルシネーションがあるデータの引き出し方が特殊な巨大データベースに過ぎない。
大学入試の女子枠批判者として知られるNENENENE@研究こと國武悠人氏が、「貧困・地方・両親非大卒は(実際には奨学金が充実していたとしても)同境遇者の少なさによって"安全な"大学に出願する傾向が数々の研究で指摘されています」と主張しているのだが、日本ではそんなことは無いので指摘したい。
NENENENE@研究こと國武悠人氏の女子枠批判論文Kunitake (2025)には、統計解析をかけている部分があるのだが、女子枠推進者の主張に対応していないので意味をなしておらず、手法の選択が下手な上に、解釈がおかしいところがあるので指摘したい。
これから研究を学ぶ大学院生が、半年前とは言え学部生のときに書いたペーパーを批評するのは心苦しいが、学術論文として公刊してしまったのだから仕方が無い。気づくと週刊誌に記事を書いているし、社会的影響力も出始めている。
NENENENE@研究こと國武悠人氏の女子枠批判論文Kunitake (2025)が、日本の歴史に疎い外国の人々を日本のDEI政策についてミスリードする内容になっているので指摘したい。
"DEI initiatives in Japan are disproportionately focused on gender, primarily on supporting women(拙訳:日本のDEIイニシアティブは、主に女性を支援することで、過度にジェンダー格差を重視している)"と言うNENENENE@研究氏の主張はそうかも知れないが、他のDEI政策への言及が無い。"2.1. The origin and scope of "DEI" in Japan(日本の"DEI"の原点と範囲)"の節は、2006年の女性研究者支援や女性研究者増加策からはじまり、2015年の女性活躍推進法で終わる。