2017年6月24日土曜日

平成27年度年次経済財政報告にある構造失業率推定の説明の誤植

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構造失業率は過去データから推定される有効求人倍率が1のときの失業率と言う説明をしたら、それはおかしいと言う質問をされたが、それを前提に推定されている。

内閣府がやっている教科書的な推定では、UV分析を背景に置いていて*1、t期の失業率=t期の欠員率=t-1期の失業率(t-1期)となるところを長期均衡と見なしている。長期均衡では、失業率の分母である労働人口と欠員率の分母である仕事の口は一致するので、失業率と欠員率が等しくなるには、失業率の分子である求職数と欠員率の分子である求人数が一致する必要がある。求人倍率=求人数/求職数であるので、長期均衡の求人倍率は1となる*2

2017年6月21日水曜日

家畜やペットの数の割りに獣医師が少ない都道府県

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加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して、地域の獣医師不足の解決策として正当化されるような話をする人が多々いるのだが、そもそも地域の獣医師が相対的に少ない都道府県はどこなのかが分からないので、官邸が出していた都道府県別の獣医師数及び家畜数の資料を使って確認してみた。愛媛を含む四国が、目立って獣医師数が少ないと言うわけでは無いようだ。高知と徳島はマシな方である。

2017年6月20日火曜日

人々が実際に持つ倫理を考える「モラルの起源」

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倫理学と言えば、特定の倫理や道徳が持つ特徴や欠点を考えたり、特定の倫理や道徳から考えて物事の是非を考えたりと、規範的な議論がされる事が多い。遡れば、利己心から説明できるとしたホッブズや、共感にもとづくとしたヒュームなどの議論もあるわけだが、当時は研究手法が洗練されておらず、倫理や道徳の由来はあれこれ想像するしかなかった。最近は、社会人文科学でも実験が一般化したこともあり、実証的な研究も進んでいるようだ。「モラルの起源」は生物学や心理学の知見から、人々が実際に持っている倫理や道徳がどのようなモノかを紹介した本だ。

2017年6月16日金曜日

獣医学部新設防止は『岩盤規制』だったのか?

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加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して、安倍総理が「岩盤規制に穴を開けた」と言ったせいか、獣医学部新設防止は『岩盤規制』と言うことになっている。しかし、獣医学部新設防止は、緩和や撤廃が容易にできない規制とは言い難い。法律ではなく文科省の告示で規制されているだけだからだ*1

2017年6月15日木曜日

国家戦略特区諮問会議の有識者議員の証言で出てきた謎

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加計学園の獣医学部新設を巡り、よく分かっていない点が三つある。一つは、官邸が文科省に獣医学部新設を認めるように圧力をかけたのか否かだ。政治主導自体はおかしくないが、官邸は主導した事を否定している。一つは、獣医師需要が減少すると予測されているのに、獣医学部を増やす方向に舵を切った理由。一つは、既存学部が『広域的に存在しない地域』に限定した理由。こういう状況で、6月13日に八田達夫大阪大学名誉教授ら有識者議員が決定の妥当性を主張したのだが、官邸が文科省と折衝していたことが強く示唆する説明であったし、むしろ謎が深まる所があった。

2017年6月13日火曜日

財政政策を緊縮か反緊縮かの一軸で見ることなかれ

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ネット界隈のリフレ派の多くは、財政政策では反緊縮を合言葉にし、増税を嫌っている嫌税派でもある。外国事例や各種文献を持ち出しては、増税忌避を正当化しようとしているのだが、反緊縮を謳っていても反増税とは限らない。財政赤字の縮小ではなく、福祉予算の削減を緊縮と呼ぶことがある。財政政策を一次元では無く二次元で見るようにすると、リフレ派が参照している事例や文献は、リフレ派が求めているものではないことも多い。

2017年6月12日月曜日

獣医学部設置認可に関する安倍総理の介入余地

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加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して、官邸の弁明は奇妙な事だらけだ。報道各社が文科省職員に裏を取っているのに“怪文書”が確認できないと言い張っており、“怪文書”が文科省の文書だと証言する前川元次官の人格を別件を持ち出して非難し、さらに“怪文書”が示唆する獣医学部の設置認可に関して、客観証拠が出ているものに関してすら、官邸が関わった事実を否定しようと躍起になっている。

2017年6月11日日曜日

獣医師の過不足を考えるための数字

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加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部を設置認可に関して、獣医師の養成数を抑制するために新設を認めてこなかった*1文科省の方針がおかしいと言う主張を見かける。寡占市場で過少供給になっているので、獣医養成数を増やせと言う論法だ。特に、公務員獣医師、産業獣医師が不足していると言う主張がある。実際、2012年に全国知事会は、獣医養成数の増加を要請している*2。これを無批判に踏襲している人が多いのだが、実際の数字はどうであろうか。

2017年6月8日木曜日

階層移動のマルコフ連鎖モデル

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経済学徒向けの演習問題のものだからだと思うが、階層移動をイメージしたマルコフ連鎖モデルの有向グラフが流れてきた*1。演習問題だけに数値は推定されたものではないと思うが、日本のデータだとどのような値になるか興味を持っていた人もいるようだ。貧困や富裕は経済発展や家族構成によっても水準が変わるので、社会階層を定義するのは厄介なのだが、所得階層の数字は『国民生活基礎調査』で取れるので、数字を推定してみた。右上のグラフがその結果である(クリックで拡大する)。

2017年6月6日火曜日

行政改革に特区制度は必要か?

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現在の日本には構造改革特区、総合特区、国家戦略特区の三種類の特区があるが、民進党がその中の国家戦略特区の廃止を求める方針を明らかにした。これを「硬直した行政を打破しうる国民にとって有益な選択肢が無くなる」と批判している元官僚を見かけたのだが、日本において特区にそういう機能があるかは、しっかり考えた方が良いように思える。新たな行政の硬直化を招く場合もあるし、しっかり規制緩和を行なわずに、特権集団に“お友達”を加えて終わる事もあるからだ。