2022年2月28日月曜日

ウクライナ軍が善戦している理由

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ウクライナが紙一重で持ちこたえているのは…愛国心」と言うツイートがされて大量の非難を浴びていた。所謂いわゆる炎上。そのツイートがされた時点でまだ4日しか経っておらず、ウクライナ軍が負けていない原因を考えることに意味が無いのはさておき、事前のロシア軍の予想よりも善戦している可能性はある。

ウクライナ軍とロシア軍の被害の全体は分かっていない上に、ロシア軍の作戦目標が判明していないのだが、諜報能力が高い上に現地に英陸軍特殊部隊SASを展開している英国防省はそのような見解を出している:"Russian forces are not making the progress they had planned."(拙訳:ロシア軍は計画通りに前進していない)。どうやってロシア軍の計画を知ったのか。やはりKI6にジェームズ・ボンドは実在するのか。この見解の信憑性は評価不能だが、ロシア軍の車両、ヘリ、戦闘機の残骸動画はネットにアップロードされており、明らかに他の戦場での光景のような偽物ではないようだ。またロシア政府はFacebookとTwitterへのアクセスを遮断しており、ウクライナの戦況がロシア国内で広まることに警戒を見せている蓋然性が高い。真偽はさておき、騙されても良さそうだ。

善戦しているとして、主な理由は3つ考えられる。

  1. 2014年のロシアによるクリミア半島併合と、続くウクライナ東部のドンパス地方での内戦の戦訓で、ウクライナ軍が増強されてきた。
  2. NATO諸国から歩兵用の携帯式対戦車ミサイルFGM-148 JavelinとMBT LAW、携帯式防空ミサイルシステムFIM-92 Stingerの大量供与がされているのだが、これがロシア軍の車両やヘリに有効であった*1
  3. 平年よりも気温が高いために舗装されていない地面が泥状になっており、戦車が機動力を既に展開できなくなっている*2。ベラルーシ、ロシア、ウクライナの粘土状の土壌による排水不良による地面の泥化の季節をラスプティツァ(Rasputitsa)と呼び、これらがロシア軍の侵攻時期に影響を与えるとはずっと指摘されていた。

装備と訓練に優れていたはずのアフタニスタン政府軍がタリバンにあっさり降伏したのを思うに、士気が低いと何もはじまらないわけだが、ウクライナ・ソビエト戦争(1917年~1921年)でも愛国心はあったようだが最後は負けている。

*1ロシア軍の最初の空爆もしくはミサイル攻撃で、航空兵力などは大方失ったと考えられる。ウクライナ軍のイバノフランコフスク空軍基地に壊れた戦闘機が並んでいる動画がアップロードされていた。

*23月ぐらいに厳しくなるのかと思いきや、泥濘にはまって放棄されたT-90戦車と2S3アカーツィヤ自走砲の動画がアップロードされていた。

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