2020年12月9日水曜日

群馬県草津町の新井議員のリコール成立でわかる誤った告発方法

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群馬県草津町の新井町議が、著書の内容を理由に解職請求され、住民投票の結果、リコールされることになった*1。解職賛成2542票、解職反対208票(無効票85票)の圧倒的な差である。投票率も53.66%とそこそこある。

著書では物証なく黒岩町長と肉体関係を持ったと主張しているだけではなく*2、無根拠に草津町では女性が有力者の愛人になって利益誘導されることが通例のように書いており、住民の怒りを買った。リコール請求に対する弁明書も、無証拠/無根拠を咎める解職請求理由に対して、職務に励んで来たなどと「弁明」しており噛み合っていなかった*3

新井氏は名誉毀損でも訴えられているわけだが、決め手にかける主張のため敗訴する可能性は高い。疑ってかかると萎縮して告発が出なくなると言う話もあるが、被疑者にも人権はあるし、狂言が発覚した性的暴行事件もある。体液が絶対必要とまでは言わないが、写真や音声、その他、当事者間で性的関係があった事が分かる文書など物的証拠が無いと、揉めたときには告発者に非があることになる。そして、自分たちを蔑んでいる人間に同情し、支持してくれる人間は少ない。

告発が狂言と見なされると社会的制裁を受ける*4。証拠なしの告発は危険だし、四方八方を罵るとリスクはさらに高まる。me, too運動のときに警告していた人が少数で、いつかこういう事件が出てくるとは思っていたが*5

*1新井祥子町議が失職 草津で住民投票 賛成過半数 リコール成立|政治・経済|上毛新聞ニュース

*2新井議員の証言と町長室のレイアウトが合致しないと言う話もある。そもそも新井議員を含めて町長室に出入りをしたことがある人は多く、ここが整合的であっても根拠にはならないが。

*3今回の投票に関する請求代表者の「請求の要旨」、草津町議会議員新井祥子氏の「弁明の要旨」について | 草津町

*4議長が主導したリコールが許されるのであれば、多数派が少数派の議席を奪っていくことが可能になると言う批判があるので、今回のリコールが議会運営上、適切かの議論は別にある。草津町議会も拙速な面があり、リコール成立前の2020年8月に草津町議会は新井町議を除名処分にしたが、違法行為だとして群馬県が取り消している。

*5関連記事:はあちゅう氏のセクハラ告発に関して

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