まだまだ高い水準にあるし、平均回帰的な傾向もあるので、来月以降持ち直す可能性もあるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策への不満から、菅内閣の支持率が急落している*1。歴史上、もっとも迅速にワクチンが開発された感染症のわけだが、希望の光を支持率に転換できていない。
自民党の支持層に飲食や宿泊に関連した中小零細の経営者が多いのは想像ができ、それら企業が1930年代の大恐慌に匹敵するかそれ以上の需要減で打撃を受けているのは確かで、菅内閣が何らかの経済振興を取りたくなるのは自然だ*2。飲食や宿泊の需要を減らすような要請も行いたくない。しかし、この新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)対策と整合性を取るのは難しい。
SARS-CoV-2は当初より飲食を伴う場での感染が指摘されており、9か月以上経った今でも否定する話は出てきていない。むしろ、事例は着実に増加している。イマドキは飲食店も感染症対策には熱心なので*3、御一人様や家族での食事であれば、外食だからと言ってリスク上昇の程度は低い。しかし、同僚とのランチ、酒席や宴会、ホステス等の接待を伴うキャバクラなどは、微小な唾液などを媒介にして、確実に感染を広める。御一人様や家族をターゲットとした飲食店は限られており、COVID-19対策を真面目にやると飲食業は打撃を受ける。
移動に伴う感染拡大が指摘されているが、移動を表す指標と実行再生産数に統計的な因果関係は確認できず、さらにGo To トラベル後に増加したかのように見えた新規感染者数は、一旦、低下している。そもそも、感染者が移動しても、移動先の実効再生産数が1未満であれば、感染は拡大していかない。家族間感染の比率増も指摘もされているが、家族と家族をつなぐ経路が遮断されていれば、それでも感染拡大は抑制できる。Gotoイート政策で、外食リスクが低いような雰囲気を作り出してしまったのは感染症抑制策としては問題であった*4。
Go To トラベルはGo To イートほど感染拡大に寄与しないと考えられるが、Go To イートが予算不足で事実上中断していたため*5、相対的に感染拡大への寄与が低いGo To トラベル*6が象徴的に全面停止となることになった。SARS-CoV-2の感染経路を見極めて、忘年会と新年会などの会食の自粛を訴えてきていたら、シンガポールのように会食の人数を絞る規制をひいていたら、Go To政策が頓挫することはなかったかも知れない。
Go To政策が何であれ、世間の気の緩みをもたらすからよくないと言う主張もあるが、年末年始のすすきの等のオトナの歓楽街に繰り出さない一人旅、クリスマスのぼっちフルコースは、感染拡大を引き起こさない景気刺激になるので、もっと上手く制度設計をして欲しかった。
ところで、政治的に会食をするなと言えないからって、雑菌等が付着しているマスクを手で触り続ける事になるマスク会食は、不衛生なので勧めるのをやめて欲しい(´・ω・`)ショボーン
*1菅内閣「支持する」42% 先月より14ポイント下落 NHK世論調査 | 選挙 | NHKニュース
*2内外を問わず政治家は陳情に弱い。
*3相席を再開している店舗もある模様で、すべてがそうとは言えない。
*4GoToイートは10月1日からスタートしているが、11月初頭から呼吸管理の必要な重症者数が増加に転じており、10月下旬ぐらいから感染が拡大していることが分かる。
*5「Go To イート」に振り回された飲食店の悲痛 | 外食 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
*6計量分析も行われているのだが、せいぜい旅行をすると風邪の症状が出る人が増えるといった程度で、明確に寄与していると言えるものはない。
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