2019年10月19日土曜日

曺国法務部長官の就任と辞任から見える韓国の政治事情

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文在寅大統領の懐刀で反日運動の急先鋒と見られている韓国の政治家曺国チョ・グク氏が、立件・有罪にできるのか微妙そうだが社会正義には適っていないと言えるスキャンダルが家族や自身から数々と発覚している中で法務部長官に就任し、早々に辞任することになった。9月9日から10月14日までの一ヶ月強の短命である。この韓国のドタバタ劇で、幾つか文在寅政権の性質が見えてくるので記しておきたい。

文在寅政権は、必ずしも世論の動向に従わない。中央日報の調査では接戦*1ではあったのだが、韓国リサーチ*2、リアルメーターの世論調査*3では10%ポイント以上が曺国氏の法務部長官任命に反対していたが、強行した。文在寅政権は国民情緒を優先して反日になっているように思われたが、政権自体に国民情緒の政治反映以外の方向性がある事が分かる。これから文在寅政権は世論のオウムではなく、文在寅政権は日韓関係を沈静化させる努力をあえてしていない事が分かる*4

右派政治家だろうが左派政治家だろうが、不正義だと思われた人物を韓国世論は支持しないし、その人物が権力の座に留まることを容認しない。左派だから2008年や2016年の蝋燭デモのようにはならないと言う予測があって半分ぐらいは当たっているのだと思うが、あれほどのデモがなくても文在寅政権の支持率は大きく低下した。なお、2015年の日韓合意のときは朴槿恵氏の支持率の低下は僅かで、対日融和策は受忍範囲であるが不道徳な政治家はそうではないと言うのには注意したい。

検察改革の難易度が高すぎるのかも知れないが、左派革新勢力の人材プールが薄い。少なくとも曺国氏以外に目ぼしい人材がいないと、文在寅大統領は考えていた。曺国氏の任命を強行する以外に、(曺国氏の以外の人材を抜擢するか、曺国氏に箔をつけて来年の大統領選に送り出す算段だったとも言われるが)三ヶ月ぐらい中継ぎ人材を立てスキャンダルが出尽くすのを確認してから曺国氏に交替すると言う選択肢があったはずだが、もっともリスクが高い選択肢をとって失敗した。

これらから分かることは、左派が政権を維持できずに保守が奪還する可能性が低くないこと、保守政治家がその気になれば同じ反日であっても外交に配慮して世論のコントロールに勤められる可能性があることが分かる。朝鮮半島を専門とする政治学者の木村幹氏は「文在寅政権が倒れ、保守派が政権をとれば日韓関係は改善する、と言う人がいる。しかし、その主張にはいったいどれくらいの根拠があるのだろうか」と、保守派の政権奪還を期待するネット界隈の日本人を批判する*5が、期待してもトンデモとは言えない。もちろん、外交問題に政治リソースを使いたくないと言う理由で、同じ路線が続く可能性ももちろんあるのだが、告げ口外交の朴槿恵大統領だって最後は落とし所を探ったわけだし、もっと早くから事態の収拾に乗り出してくれるかも知れない。

日本の外交政策としてはそんなことを見込むのはよくないし、韓国政府、韓国国民へのメッセージは、もっと具体的かつ明確にした方がよいと思うが、外交を担当していない国民が希望をもったからと言って悪いことは無いであろう。

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