2019年9月7日土曜日

韓国政府、韓国国民へのメッセージは具体的かつ明確に

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韓国の文在寅大統領がASEAN訪問で各国に協力を求めると言い出し、韓国の康京和外相がBBCのHARDtalkと言う番組に出演したり、文在寅大統領の政策ブレーンとして知られる延世大学の金基正教授がThe National Interestと言う雑誌に寄稿*1したりと、日韓関係の悪化に関して韓国首脳は自己正当化に余念が無い。さらには福島第一原発のトリチウムを含む処理水の投棄や旭日旗の問題など次々に話題をつくってくれるわけだが、おかげでちょっと困ったことなっている。皆さん、日本政府の主張が何であったか覚えているであろうか?

復習しておこう。日本政府は徴用工問題に関しては、(1a)韓国政府が代理で補償を行うか、(1b)日韓請求権協定の解釈が異なったときのために、同協定で規定された対話手段である仲裁委員会の設置を行うか、(1c)国際司法裁判所による紛争解決を求めている。大韓民国向け輸出管理の運用の見直しに関しては、(2)韓国政府が輸出管理の実効能力を強化し、日本政府からの問い合わせに対して迅速に情報を提供する体制を構築することを求めている。文在寅政権になってから輸出管理に関する協議を韓国側が拒否してきたことが、今回の措置の理由だ。GSOMIA破棄など韓国政府が色々と繰り出してくるので、それぞれに日本側の主張があるわけだが、この2つが核になる。

粘り強さで定評のある外務省職員がこれらの点を忘れることは無いが、通常の外交とは異なる点がある。韓国政府ではなく、韓国と言う社会に日本政府の主張を伝えないといけない。文在寅政権は政府間レベルの合意に基づいて国民を説得することを放棄しているので、韓国メディア、そして韓国国民に届かないメッセージは、文在寅政権からも無視されてしまう。日本政府のメッセージは具体的かつ明確なものにして、韓国国民がそれが大きなトピックだと認識した上で世論が動かないと、文在寅政権は動かない。しかし、今、閣僚が繰り返している、韓国は国際法違反を是正すべしと言うメッセージは具体性に欠くので上手くない。

韓国司法、さらには韓国国民は、日本側から見れば無理のある理屈でも、日韓請求権協定、国際法に違反していると言う認識が無い*2。韓国国民からすると「はぁ?何を言っちゃっているの?」と言うことになる。協定の内容を知らない欧米メディアも同様。つまり、今の政府高官のメッセージは、徴用工への賠償命令は日韓請求権協定の合意に違反していると言う日本側の主張を受け入れている人にしか理解できない抽象性がある。日本政府が何を要求しているかについて、もっと具体性を持たせる必要がある。また、場合分けされた複雑なメッセージを同時に出してもメディアも大衆も理解したがらないので、もっと単純な主張に絞るべきだ。

具体的には、日韓請求権協定の第3条に基づいて、日韓で協定解釈が異なったときの対話手段である仲裁委員会の設置に、韓国は応じる義務があると言うメッセージを何十回、何百回と繰り返し出して行くべきだ。それをやっても無駄だって? — 確かに韓国政府がなびくとは思えない。仲裁委員会は最終的には第三国の仲裁委員が入って裁定することになるが、日本と韓国の共通の同盟国である米国政府が指名する誰かになり、米国の利益に沿った裁定を行うからだ。アメリカ政府は公式には韓国併合を容認してきた立場であり、またアメリカ政府も過去に植民地を持ち独立運動に悩まされた経緯がある。日韓併合が違法で無効であるから「強制動員慰謝料請求権」なる、サンフランシスコ平和条約や日韓請求権協定で協議されなかったモノが発生したという韓国司法の主張を認める可能性は極めて低い。しかし、得られるものがゼロと言うわけではない。

日本が対話を求めていると言う姿勢を出すことができ、韓国メディアや韓国国民、東アジア情勢に関して取材力が無い欧米メディア、そしてホワイトハウスのスタッフや米国の議員などに、合意したプロトコルで話し合いに応じない韓国をアピールすることができる。韓国メディアは韓国司法の法理が他国に通用しないであろうことを説明することになるであろうし、韓国国民は自らの正義に普遍性が無い可能性に気づいて不愉快な思いをする。そして、アメリカから韓国に譲歩しろ、他の事案で韓国に便宜を図れと言われる可能性も低くできるはずだ。この問題で勝利を得ることは無いであろうが、少しはマシな状態の対立になるであろう。何はともあれ融和が望めないときでも、上手く振舞う方法を模索しないといけない。

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