2019年6月30日日曜日

∂が出てくる高校数学で熱力学と統計力学を紹介する『高校数学でわかるボルツマンの原理』

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経済物理学と言う統計力学を使って経済現象を説明しようとする分野がある*1ので以前から統計力学に野次馬的な興味があったのだが、なかなか手を出せずにいる。大学の統計力学の教材は物理学徒向けに書かれており、文系には予備知識の欠落でなかなか読み進まない*2し、そもそもそんなに本格的に勉強したくない。こんな我侭のための教材などこの世に無さそうではあるのだが、普通にブルーバックスから『高校数学でわかるボルツマンの原理 : 熱力学と統計力学を理解しよう』と言う本が出ていた。

2019年6月24日月曜日

戦争を語るおっさんは『補給戦』は読んでおけよ

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ファンタジー小説を書く前に『戦闘技術の歴史』を読んでおけと言う話で、クレフェルト『補給戦―何が勝敗を決定するのか』が勧められていたので拝読してみた。近世から第二次世界大戦までの兵站に関する風説を検討していく本で、『戦闘技術の歴史』では兵站についてはほとんど言及されていないので補完関係にあり、確かに一読の価値がある。本文だけではなく、訳者後書きの前に付録的についている著者マーチン・ファン・クレフェルトの紹介記事が面白い。原著は1977年の古い本なので現代戦については別の本で補完する必要があるし、兵站で勝敗が決した事例を選んで分析しているわけでは無いので副題が不適当な感じはするのだが、そこは御愛嬌と言うことで。

2019年6月19日水曜日

物理学徒がマクロ経済学を俯瞰した『経済数学の直観的方法』

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物理数学の直観的方法*1で名を馳せた物理学徒の長沼伸一郎氏が、経済数学についての解説本『経済数学の直観的方法 マクロ経済学編』を出していた。経済学や経済思想史を体系的に学んだことが無い人が書いているためか、経済学全体をよく俯瞰できていないので誤解や偏見を引き起こしそうな見落としがあるので、これで経済学を語られるとちょっと困るところもあるし、内容が最近のカリキュラムとやや乖離しているのだが、誤解や偏見があることを踏まえて読める人には、物理学と経済学を対比した記述が面白いものとなっている。

2019年6月9日日曜日

原理から見た製鉄の歴史が分かる「人はどのように鉄を作ってきたか」

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金属が文明に与えた影響は大きく、歴史区分に鉄器時代を使うこともあるし、創作物で鍛冶のシーンが出てくることも多く、製鉄はモノ造りの象徴とも言える存在だ。鉄鋼業界の変動や再編は今でも大きなニュースになる。しかし、製鉄の原理や歴史を学んだ人は少数であろう。ヒッタイト起源だと世界史で習ったぐらいであろうか。しかし、それでは文明を語る老害にはなれない。

2019年6月5日水曜日

MMT教祖Mitchellの日本経済への理解はこんな程度

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話題の非主流派経済学MMTの教祖や信奉者から日本の過去20年間の経験がMMTが正しいことを実証しているような言説をちょくちょくと聞くのだが*1、MMTの教祖たちの日本経済への理解はかなり雑なので真に受けてはいけない。

2019年6月3日月曜日

三兵戦術の集大成がわかる『戦闘技術の歴史4 ナポレオンの時代編』

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戦闘技術の歴史』の第4巻は、ナポレオン・ボナパルトの時代を取り上げていた。戦闘技術がテーマだけに、オラニエ公マウリッツ~グスタフ2世アドルフ~ナポレオンと続いた歩兵/砲兵/騎兵と兵科を分けて運用する三兵戦術の発展に関わる記述が大きな比重を占めている。ナポレオン時代のフランス陸軍が強力なのは、野戦砲の性能向上が実現されたところに、軍の機動的運用が実現されたためであったことがよくわかる。

2019年6月1日土曜日

北朝鮮の核・ミサイル開発問題で、日本が蚊帳の外でよかった

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…と、安倍総理が思っているかは定かではないが*1、文在寅劇場が打ち切りになりそうである。

2018年4月の板門店での南北首脳会談では、朝鮮半島問題の専門家の木村幹氏に「大国に従いながら、その力を利用することで、自立に向けて一歩ずつ進もうとしている」と褒め称えられていた*2のだが、その後、交渉を積み重ねた後の2019年2月のハノイの米朝首脳会談は物別れに終わった。