2016年12月4日日曜日

韓国政治が世界的にも例を見ない「政治実験」になるとき

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友人に政策運営を相談し、さらに便宜を図ったことから、野党と与党の一部が弾劾の動きを見せている韓国の朴槿恵大統領だが、その進退を国会に任せる旨の談話を出して混乱を招いており、少なくとも12月2日の弾劾手続き開始の発議は回避する効果を持った。翌日に発議されたが。

韓国政治の専門家の浅羽祐樹氏によると「政局を混乱させることが狙い」で「次の大統領レースに出場する選手たち(多くは国会議員)が、一番大きい変数となるレースの日程を決める」『世界的にも例を見ない「政治実験」』になるそうだ*1。しかし、違和感が残る議論になっている。弾劾もしくは、弾劾を避けるための辞任であれば、異例とも言えない。

浅羽氏は「弾劾自体を取りやめるということにはならない」と見ているわけだが、すると大統領戦の日程などは憲法裁判所の結審次第になる。浅羽氏の以前の論考だと弾劾は成立する公算なので、憲法裁判所の結審後、60日以内に選挙が行なわれる事になるのは、与野党政治家がコントロールできる範囲ではない。また、大統領の弾劾は何回かは生じてきた事象である。フィリピンのエストラーダ大統領、ブラジルのルセフ大統領が思いつくのだが、他にもあるかも知れない。

憲法裁判所が弾劾を否決したらどうなるのであろうか。朴氏の談話*2では、弾劾手続きの開始をしない事は辞任の条件につけられていない。ウォーターゲート事件で米国のニクソン大統領は弾劾を回避するために辞任をしたが、朴氏は弾劾を回避したとしても辞任することになる。韓国憲法では任期中の大統領の地位は、弾劾と言う困難な手続きを取らない限りは保証されていたはずなのだが、大統領の地位は実質的に保証されないことが示された。

憲法に明確に規定されていない事は多々あり、むしろその運用解釈によって憲法の性質が明確化されていく事は良くある*3と思うのだが、支持率の低下によって任期を待たずに大統領が地位を失う政治体制に移行する事になれば、類を見ない状況になるのは確かだ。憲法裁判所によって弾劾が否決されるのか、さらに否決されたときに談話の内容が維持されるのかは分からないが、韓国憲法で想定されていない辞め方になりうる。

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