2015年10月25日日曜日

インフレ目標政策は、経営者のインフレ期待を固定しない

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日銀がインフレ目標政策を導入したのは2013年と最近のことだが、ニュージーランド中央銀行(RBNZ)は1988年に導入し、もう25年もインフレ目標政策を行っている。しかも、RBNZは目標未達だと中央銀行総裁は財務大臣から辞任が求められる事もあり、日銀のものよりコミットメントが大きい。こう書くと、さぞかし国民にインフレ目標政策が周知されているかのように思うが、実際はまったくそんな事は無いそうだ。

VOXによると、インフレに応じて経営を変えると言っている経営者の皆様は、インフレ目標政策どころか、インフレ統計も良く認知していないそうだ。また、インフレ予測の不確実性も大きいと考えられており、間接的にも将来の見通しを良くしているか疑問が残る結果となっている。これはニュージーランドだけでは無く、米国でも同様らしい。

経営者が不合理と言うわけではなく、適切な物価情報の取得源が異なると言うことなのであろう。インフレ目標政策やインフレ統計よりは、仕入れ価格や販売価格の方がより収益に関わる情報だ。マクロなインフレ率に関心を持つ必要は必ずしも無い。経営者が申告するインフレ見通しの不確実性も、国外でのショック発生などを考えると妥当なのかも知れない。金融政策も総裁の名前も知られていない一方で、RBNZへの信頼が高いが、これはインフレ抑制が順調に行われてきた結果を評価したものであろう。もともと通貨安の防止のために、インフレ目標政策が導入された経緯がある。

さて、この結果自体でインフレ目標政策の是非は結論できない。金融機関のインフレ期待を多少なりとも固定していればいいので、金融機関の貸し出し姿勢などで企業経営に影響が与えられれば良いからだ。そして構造的な理由は何であれ*1、ニュージーランドのインフレ率は、インフレ目標政策導入後の方が安定的である。ただし、国民全員のインフレ期待を統一するようなイメージを持っている人は、さすがに幻想だから捨てた方が良いと思う。

*1中央銀行の行動予測をしやすくする事で経済を安定させる効果よりも、中央銀行が二兎を追わないようにする政治的な効果の方が大きいかも知れない。

1 コメント:

motiduki さんのコメント...

>金融機関のインフレ期待を多少なりとも固定していればいいので、金融機関の貸し出し姿勢などで企業経営に影響が与えられれば良いからだ。

もし、中央銀行が金融機関の貸し出し姿勢に影響を与えられない場合、例えば、超過準備が十分に積みあがっているときの資金供給といった場合は、インフレ目標の意味はあるのでしょうか?

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