2014年2月21日金曜日

ひたすら復習を迫られる「線形代数と群の表現Ⅱ」

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群論が役に立つのか謎と言っていたら勧められた「線形代数と群の表現Ⅰ*1に続いて、「線形代数と群の表現Ⅱ」を眺め続けているのだが、なかなか完読できそうにない。表現論と聞いても日本語表現論を連想する人が多そうな気がするが、物理数学では重要な分野だそうだ。だから完読したいのだが、完読する前に読み始めたことを忘れそうなので、理解できた部分だけ紹介しておきたい。理解できたのは本の構成で、数学や物理では無いのが残念なところだが。

Ⅰはどちらかと言えば多面体などを例にした群論や表現論などの数学的な概要を説明した本であったのだが、Ⅱは相対性理論やニュートン力学などへの応用などの紹介の比率がぐっとあがり物理数学の本としての色彩が濃くなる。そのために複素数体を用いた議論に比重が移り、テンソルや外積代数やヒルベルト空間が出てくる線形代数が駆使される。外部テンソル積表現も出てくるし、もはやAMS-LaTeXなしでは写経もできない。

冒頭から相対論に関連したミンコフスキー空間、ロバチェフスキー空間と言う非ユークリッド空間の群が説明されていく。途中でニュートン力学が丁寧に説明され、ガリレイ変換についての議論が展開されたりもするし、最後で僅かに素粒子論やリー環なども紹介されたりするが、主題は非ユークリッド空間の群であろう。相対論の要はここなことだけは分かった。なお、Ⅰと異なり不変測度の一意性など証明が省略され設問にもなっていない定理の紹介がだんだんと増えてくる。

これはⅠでも同様に感じたがところだが、高校生向きと称しているが説明が足りているようには思えない。ケイレイ変換が複素平面上の上半平面を閉単位円盤に変換することを証明する問題が出されていたりするのだが、円々対応を教わらないで答えに到達できる高校生は稀だと信じたい。行列式なども後の方で説明されるなど、読み進めてから戻ってこないと理解できそうな部分も多々あって、迷路の中を進んでいるような錯覚を覚える。

高校生でも読めることが前提なので、16章に線形代数基礎、20章に線形代数中級と言う章が設けられているが、主題はあくまで表現論である。ベクトルと行列は別なのでおかしい事は無いのだが、ベクトル空間に対する同型定理を説明した後に、正方行列の正則性が出てくる。テンソル積のあとに行列式が出てくる。説明順序に無理があるわけではないが、学習者が通常習うであろう順番とは合致しないであろう。

もっとも高校生向きだと考えなければ、この迷路性は参考書として長所かも知れない。相対性理論の概要を知っていて、かつ大学で表現論以外の数学を一通り学んだ学生が読むと、忘れていることを思い出しつつ、表現論の知識が深まっていくのだと思う。そう考えれば外積代数のあとに行列式が説明されていても、行列式を説明する前に行列式が使われていても気にならない。ひたすら復習を迫られるテキストだと考えれば、特段の無理は無い。

個人的には表現論が物理学で使われていることと、一部の問題で簡潔に議論が展開できるようになることが理解できたのだが、表現論で何かを証明できるようになったりしたのかが分からなかったので面白みがあるのか無いのか良く分からなかった。最後に現代物理学への応用について紹介されているので重要性は感じることができるのだが、そもそも規約表現を調べる目的が良く分かってい無い。しかし、物理学徒であれば本書を読む前に応用面の知識があるであろうから、有り難味が分かるのであろう。

模範解答が無いのが痛いのだが、物理学を専攻している学部生が、仲間内で輪読を続けるときっと楽しい本だと思う。ぼっちな私向きではなかったです。ああ読み終わるんだろうか、これ(ノ_;)

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