2010年4月17日土曜日

外資系金融機関はボロ儲けしているのか?

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LDHが傘下の子会社を売却し、得た現金資産で外資系金融機関に高額配当を行っている事から、『外資は、骨までしゃぶりつくす錬金術にたけている。』と評しているメディアがある。しかし本当に、そんな事を言えるのであろうか?

まず、錬金術と言う点だが、旧ライブドアの株式を外資系金融機関を取得したのは、事件後に株価が急落した後であった。この時点で時価総額を総資産で割った純資産倍率(PBR)は1を切っていた。

[1] ライブドアの資産規模は、市場参加者に知られていた。
PBRが1を切るということは、その企業が持つ資産を全て簿価で売却すれば、取得株式を上回る現金を入手できると言うことである。2006年時点でライブドアの株価は、公表されている1株当たりの資産が172円前後だったのにも関わらず、事件の影響で時価では128~164円で推移していたので、株価が不当に安くなっていたとも言える。つまり、錬金術と言うが、当時、ライブドアが資産を持っている事は公然と知られていた。


[2] 外資系金融機関はリスクをとっている。
もちろん、資産があったとしても、それが簿価で売却可能なのか、簿価で売却できる資産なのかがポイントになる。機械設備や土地などの流動性が低い施設は、簿価が時価を下回る事は多々あるのだ。PBRが1を切ったのも、この当たりのリスクを評価してのことになる。
また、旧ライブドア社は赤字企業なので、迅速に資産を売却していかないと、資産価値はどんどんと低下していく可能性が高かった。子会社の売却先が見つからなければジリ貧になる可能性が高く、大きなリスクをはらんでいた。旧ライブドア社の資産売却は2006年から始まっているので、3年以上かかっている事にも注意されたい。一般的に3年もあれば、資産価値は大きく変化するものだ。


[3] 外資系金融機関も努力している。
外資系金融機関は、恐らく旧ライブドアの資産を精査し、その資産の売却額を再評価してから、ライブドア社の株式を取得したと考えられる。ここで、彼らは情報生産という努力を行っている。
さらに外資系金融機関は、旧ライブドア社を持ち株会社LDHに移行して、子会社の売却が円滑に行えるように組織を変更している。2007年10月には旧ライブドア出身の社長から退任し、経営コンサルが社長に就任しているが、これも経営というよりは、資産売却の円滑化を狙ったものだと考えられる。外資系は積極的に、旧ライブドアの資産売却を監視してきた。

外資系金融機関は、リスクが高い資産を、十分に評価した上で入手し、努力してその売却を遂行してきている。しかし、資産価値が高いことは知られていたので『錬金術』とは言えないし、努力して収益を得ているので『しゃぶりつくす』という表現は不適当であろう。

なお、光通信の社債なども事件後に市場価値が急落したが、最終的には償還されたので有利な投資となった。リスクをコントロールする術があれば、リスクの高いジャンク債で高収益を得られることは、過去の経験から知られている。日本にいる外資系金融機関の多くは投資銀行業務を得意としているが、こういうリスク評価こそが外資系金融機関の生業と言えるのかも知れない。

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