2023年1月11日水曜日

ロシアと戦い続けることが、ウクライナとって安牌

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ウクライナが停戦を結ぼうとせず、占領された4州の奪還を目指してロシアに抵抗を続けていることに対して、「ギャンブラーと同じ香りがする」と非難する人が現れ、国際政治学者や軍事マニアを含む親ウクライナ派のアカウントから、ロシアの悪行に抵抗するのはギャンブルではない、ロシアに占領されると被害甚大になると批判されていた。

どのような選択もリスクはあるので、ある意味、どれもギャンブルではある。しかし、ロシアが応じたとしても、ロシアとの停戦はかなりのリスクを伴う。

ロシアはミンスク合意を守っていなかった。つまり、ロシアの都合で停戦は簡単に破られる。ウクライナの防衛能力が、ロシア軍の侵攻能力を上回る状態を維持できないと、停戦は意味をなさない。つまり、十分にロシア軍の戦力を削らないと、停戦は維持されない。

逆に、現状の戦況が続く限り、継戦はリスクを低減することができる。ロシア軍の損失のペースが、ウクライナ軍の損失のペースを上回っていることが前提の話だが、これまでは欧米から供給された物資と情報により効果的に戦えており、ロシア軍を東部ハリコフ州や南部ヘルソン州ドニエプル川右岸からの撤退に追い込むことに成功している。

破られる可能性がある停戦よりも継戦の方がリスクが低く、かつ継戦によって停戦後のリスクを低下させられるので、ロシアと停戦を結ぶよりも、ロシアと戦い続けるほうが、ウクライナにとって手堅い選択肢だ。ロシア軍に地道に打撃を与えていく戦略の先に、ウクライナの全面的な勝利があるかは分からないが、ロシアは防御陣地を固めつつ、非戦闘員の経済活動を阻害する事で厭戦気分を高めて停戦に持ち込もうとしているわけで、ウクライナにとって継戦が得なのはロシア側の行動からも分かる。

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