2022年4月1日金曜日

VTuber(の中の人)への人権侵害に関する松戸市議会への請願とネット論客の一貫性

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松戸市議会で令和3年度請願第5号「交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願」が全会一致で否決された*1。この請願は、松戸ローカルVTuber戸定梨香の交通安全PR動画に関して全国フェミニスト議員連盟が抗議文で「性犯罪を誘発する懸念」と主張したことが人権侵害にあたるとして、松戸市議会に救済を求めるものだ。請願の内容と議決の是非はさておき、これに対して驚くべき意見が表明されていた。

1. 請願否決を支持するネット論客

「性犯罪を誘発する懸念」などとVTuber・戸定梨香氏を貶めた」とフェミ議連を非難してきたネット論客の青識亜論氏が、反対意見で、この請願の事実の摘示を判断できない、つまり「性犯罪を誘発する懸念」と言う表現が不当なものだと認定しなかった「宇津野委員の論が正しくて、少なくとも、「批判」を「人権侵害」としたのは戦略ミスだった」と請願を批判している。

2. 請願と同様のことを主張していた

青識亜論氏は「性犯罪を誘発する懸念」について半年間ほど執拗に非難を繰り返してきた。無根拠であることを批判するだけではなく、「松戸市の無辜のコンテンツ事業者の名誉を傷つけ、結果として800万円の商業的機会を妨害している現状について、政治的責任がある」(注意:遺失利益の根拠は不明)「「性犯罪を誘発する懸念」などの風評被害を受けたVTuberのみなさんを、政治は救う必要がありますね!」「キャラクターの背後には演じている実際の女性や、クリエイターがいるのであって、そのキャラクターを「性犯罪を誘発する懸念」などと叩けば、当然、加傷(原文ママ)が発生する」と、「性犯罪を誘発する懸念」と言う非難がVTuber戸定梨香の中の人を不当に害していると繰り返し主張してきている。

追記(2024/03/21 04:08):なお、交通安全PR動画に関する報酬を失ったという情報は無いこと、フェミ議連の抗議によって知名度が急激に増して、他に起用が決まったことから、商業機会を失わせたと考えるのは困難だ。関連したまとめについた@nanasi43氏の2021年9月26日の指摘によると、フェミ議連が抗議する前のVTuber戸定梨香のチャンネル登録者数は2,000未満で抗議後に15,000人を超え、運営会社のVASEのチャンネルも登録者数が収益化可能な1000人を超えたのは騒動以降である。

2020年10月1日チャンネル登録者数714、2020年12月25日にチャンネル登録者数1000人突破、2021年9月9日まではチャンネル登録者数1720、現在の登録者数1.52万人。 削除騒動で一気に増えたものであり、それ以前の動画再生数も3桁程度、それまではご当地バーチャルYouTuberとしての活動で世間にはほぼ知られていなかった。

運営会社のVASEのチャンネルも、登録者数が収益化可能な1000人を超えたのは騒動以降である 戸定梨香【VASE】 YouTubeチャンネルアナリティクスとレポート - NoxInfluencer https://jp.noxinfluencer.com/youtube/channel/UCeUxaSLRzywNh8v78SDKP8A

3. 主張を変えたのでなければ

青識亜論氏が自身の主張を理解できているのかが分からないのだが、フェミ議連の抗議文はVTuber戸定梨香の中の人への人権侵害であり、救済されるべきだと言って来たわけだ。松戸市議会に出された請願と大きな相違は無い。請願提出者の政治手法が稚拙であったと言う批判ならば分かるが、請願内容は正しいとしなければ話の辻褄があわなくなる。今までの青識亜論氏の主張はフェミ議連を分かりやすく非難するために問題を誇張していただけで、「性犯罪を誘発する懸念」と言う表現がVTuber戸定梨香の中の人に与える影響は大きいと思っていなかったりするのであろうか? — そうでなければ、やはり松戸市議会を問題を理解していないと批判するべきだ。

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