2020年10月24日土曜日

ツイフェミが問題にしているのは、性的モノ化ではなくて、ポルノ化もしくは性化の弊害

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

・・・と考えたら、話がすっきりする話が流れていた。

巨乳女性の料理系YouTuberくまクッキング氏のTシャツ胸部の広告と、ノーブラで乳首が浮いて見えるTシャツで「勝手にエロいもの扱いするな」と言うメッセージが書かれたInstagramの投稿に差異があるのか、ネット論客の青識亜論氏とじょいたま氏が言い争っていた。性的モノ化(sexual objectification)になるのか否かが論点になっていたが、筋が悪い。

比較されている写真の片方は性的モノ化されているか否か判然としないし、実のところ性的モノ化されていても直ちに不道徳にはならない*1ので、もっと他の観点を模索するべき。

左右で対比されているが、左が前者が性的モノ化の典型例なのは間違いない。広告媒体として成立しているわけで、「客寄せのため」に女性の性的魅力を用いているのは確かだし、他の胸が大きな女性と交換してもほぼ同じものになる。

右が性的モノ化になるのかは曖昧だ。他の女性の同様の写真でもよいはずなので、人格をモノのように扱ってはいる。しかし、「ワタシハオマエガヌクタメノモノジャナイ」「ジロジロ見るな」「勝手にエロいもの扱いするな」と言うメッセージがある。男性の反応に自覚的なのは確かなので、男性に拡散されることを目的としていたら自己の性的魅力を用いた蓋然性は高いが、女性の共感を呼ぶためであったら性的自己モノ化とは言えない*2。文字通り読めば男性に向けたメッセージだが、そういう言い回しを女友達にする女性もいるであろう。

性的モノ化と言う観点で言えば、左右の違いはあるかも知れないと言う程度の結論しかでない。ツイフェミのじょいたま氏にとって左と右の道徳的な差異は明確なので、性的モノ化ではない他の観点から見ていることがわかる。ポルノ化(pornofication)/性化(sexualization)の弊害を思い出そう。ポルノ化/性化された女性表現を見た女性が、エロ可愛い格好や仕草で男性の気を引くのが女性の生きる道と誤解して、道を誤るのが問題と言う話だ。エロ可愛い女性は有害論。左は無批判に女性の性的魅力を用いている一方で、右は女性に性的魅力を感じることに批判的である。性的魅力を駆使する機会が減ることを省みていない。つまり、女性が生きる模範として考えると、左右の差異は大きい

ネット界隈に性的モノ化という単語を紹介してきたジェンダー社会学者は、どうもよく定義を把握できていなかった。そもそも、日本に限らず性的モノ化と言う概念はよく持ち出されているのだが、日本に限らず議論を混乱させている。建設的な議論のためには、性的モノ化と言う概念を持ち出さないようにした方がいいし、性的モノ化と聞いても文字通りに受け取らない方がよい。

*1カントでもなければ、性的モノ化が直ちに不道徳とは限らない。フェミニスト倫理学者もヌスバウム御大は、性的モノ化されていても不道徳とは言えないケースを幾つも挙げており、女性の尊厳が保持されているのかのようなさらに別の議論が必要になる。

The Objectification of Women with Martha Nussbaum - Literal Magazine

*2女性も他の女性の胸部を見てしまうもののようだが、他の女性の胸部に性的魅力を感じるとは聞かない。

*3モノはモノ化しないので、マンガやアニメのキャラクターを如何様に書こうとも、性的モノ化したとは言えない(関連記事:過去のフェミニズムの議論からは、性的モノ化された萌え絵が有害の可能性は低い)。

*3現在のフェミニズムの原典になる第2波フェミニズムがあるべき女性の生き方を規定してくることには注意しよう。リベラル・フェミニズムには男性のようにバリバリ働くのが女性の幸せとしていたし、ラディカル・フェミニストもミスコン反対運動をしたりしている。

0 コメント:

コメントを投稿