2016年11月6日日曜日

福島第一原発事故から、原発は人の手に負えないと言い出す前に

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福島第一原発の災害・事故から「あれだけのことがあったのだから、 原発は人の手に負えない」のような事を言い出す人を未だに見かけるのだが、この論法に違和感を強く感じる。津波に巻き込まれた従業員以外の直接の人命損失は無いとは言え、かなり広大な居住区の住人が長期間避難を強いられている事は事実なのだが、他の資源では同様の現象がないかと言うと、そうではないからだ。

2011年3月11日の東日本大震災でコスモ石油千葉製油所が火災・爆発し、3月21日まで鎮火しなかった*1ことは覚えている人はまだ多いであろう。派手に火柱が上がっているのを撮影されていた(右上画像)。化学工場の事故は、それなりある。炭鉱の事故は良く報道されているが、火力発電所の事故なども少なくない。水力発電所にもやはり事故はあり、2016年4月に熊本地震で南阿蘇村の黒川第一発電所が崩落*2した事は、まだ記憶に新しい。

収拾見込みと言う観点からも、福島第一原発事故は最悪のケースとも言えない。米国セントラリアの炭鉱火災は町全体に退去勧告が出た上に、50年以上経っても鎮火していない*3。トルクメニスタンのダルヴァザで地質調査時に発生した天然ガス火災は40年以上が経った今でも鎮火していない*4。鉱滓ダム*5の決壊なども、収拾見込みが無くなる事がある*6

普段から災害情報を嬉々としてみているわけでは無いであろうが、何かを「あれだけのことがあったのだから、人の手に負えない」と言う前には、他の技術の災害事例を参照すべき。なお、原子力と言う技術そのものの是非は、また別なので早とちりしないように。

2 コメント:

dflove さんのコメント...

記事の主旨自体には賛成するんですけれども。
「かなり広大な居住区の住人が長期間避難を強いられている事は事実なのだが、他の資源では同様の現象がないかと言うと、そうではない」と主張されておきながら、同等の避難民を出した事件が挙がっていないのが気になります。
福島原発事故での避難者数は地震・津波を含めて164,865人だそうです( http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/list271.html )。
セントラリアの例の場合、約38億円という街の移転コストから考えて、避難者の規模は福島原発事故と比較になるものではないでしょう。
(数字については左記ページを参考にした: https://web.archive.org/web/20130329090448/http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130121001 )
ダルヴァザについても鉱滓ダムについても、避難者の実数は調べていませんが、周辺の人口密度を見るに福島原発事故とは避難者数のオーダーが少なくとも2桁異なるように見受けられます。
「これらはあくまで収拾見込みについての例なのだ」と仰るのかもしれませんが、結局福島原発事故と同等の避難規模を持つ事件が挙がっていないことには代わりがないわけで。
もっと主張を補強する良い実例を挙げて下さいませんでしょうか?

uncorrelated さんのコメント...

>> dfloveさん
> 同等の避難民を出した事件が挙がっていない

想定外だったり長期避難を伴う事故があることを示したかっただけで、避難者数自体は類例がないかも知れませんね。

なお、福島第一原発事故で「かなり広大な居住区の住人が長期間避難を強いられている」のは、本来であれば住民の任意避難とされるべき汚染地域も、当時の政権の独断で避難者数が増加している面があるので、そこは注意してください。

※ 間違って削除したので再投稿

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