2016年2月25日木曜日

テスト・スコアが謎な論文と不注意なコメントに踊らされる

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翻訳家の山形浩生氏がある論文の中のグラフを元に「学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。」と言うエントリーを上げている。横軸がTest scoreになるのだが、東・東南アジアの中で日本が低い部類に入ると言う話らしい。しかし、このTest scoreはPIAACのものでは無いのだが、PIAACのものだと推測する謎な展開になっている。

山形氏は当初、「具体的なデータ出所は、この論文著者たちの本に載っている模様で不詳」と書いていたのだが、id:cider_kondo氏のPIAACを踏まえた研究と言うのを間に受けてしまったようだ。確かに著者二名はPIAACのデータを使った論文を書いているのだが、PIAACのデータとは全く合致しない: (1)グラフ内の国名にPIAACの非参加国が含まれる。(2)PIAACのスコアは288のような三桁の数字になっており、0.0から3.0強までのグラフ内のTest scoreと合致しない。(3)PIAACのスコアで見ると、ITスキルを除けば日本人は優秀である(文部科学省)。なお論文著者は以前の論文で数的思考力を重視していているが、日本は韓国よりもPIAACの数的思考力のスコアは高い。話題の論文のグラフとは傾向が合致しない。

論文要旨を読むと就学年数ではなくて教育内容にもっと注意しましょうと言うもので、主張自体はもっともらしい。しかし、計量分析の基礎となるスコアが正体不明なうちは疑ってかかるべきであろう。論文にスコアの作成方法が書かれていないらしいので著者にメールで聞くべきなのだが、論文を読む気がしないので誰か他の人にお任せしたい。また、論文ではアジアと南米を比較しているようだが、米国ではアジア系の学業が優秀になっており、エスニシティで学校外教育に差があることが予想される事から、私的教育に関して注意が払われているのかも気になる。

1 コメント:

WLK さんのコメント...

スコアはこのあたりのやり方が元のようです。
http://hanushek.stanford.edu/sites/default/files/publications/Hanushek%2BWoessmann%202008%20JEL%2046(3).pdf

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