2015年12月29日火曜日

「慰安婦問題妥結」は韓国世論の試金石

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従軍慰安婦問題に関して、日韓政府が外交的な合意に至った*1。「最終的かつ不可逆的な解決」と言いつつ、韓国側の要請で合意文書の作成は見送られており*2、自信の無さが浮き彫りになっている。韓国メディアは好意的に報道しているが、野党や挺対協ら市民グループは反発をしており*3、韓国世論がどう動くかが気になるところだ。1993年の河野談話は挺対協らの反発により、韓国では受け入れられなかった。今回の合意は、20年経過して挺対協の影響力が落ちていないか確認する試金石になる。

2015年12月25日金曜日

橘玲の経済学の理解のどこがヤバいのか

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作家の橘玲氏が『マクロ経済学のどこがヤバいのか』と言うエントリーで、経済学について語っている。合理的経済人と限界費用逓増法則を批判しているのだが、色々と変になっているので指摘したい。今は経済学で言う合理性がどういうものなのか、限界費用逓増法則が成立しない、つまり規模経済性があるときにどういう世界になるかミクロ経済学のテキストに良く説明が書いてあると思うのだが。

2015年12月22日火曜日

選択的夫婦別姓制度に反対する人は、説得的な反対理由を挙げる必要があるのか?

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最高裁判所が夫婦同氏制を合憲としてから、にわかに選択的夫婦別姓制度の是非について議論が盛り上がっているようだ。違憲でないからと言って、夫婦同氏制が望ましいと決まったわけではないから、議論が終結したわけではない。むしろ、議論はこれからであろう。非嫡出子の相続分差別規定は、何十年とかけて最高裁の判断が変わった。

さて、選択的夫婦別姓制度が姓を同じにするときの不利益がどちらか片方によることが不公平であると明確に主張できる一方で、夫婦同氏制を維持する理由を明確に主張する人はほとんどいないようだ。「家族の一体感を損なう」と言われても、姓が異なると失われる一体感とは何なのか、実の所は明確ではない*1

2015年12月17日木曜日

自分で考えすぎた人の話――カント哲学入門

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哲学の世界には分野外の人にも知名度はとても高いが、その主張がほとんど知られていない偉人は多い。その代表を選ぶとしたら、やはりカントであろう。功利主義であればその主張の断片を、それが誤解されたものでも耳に挟むこともあるわけだが、カントを濫用する人は少ないと思う。それが帰結主義と対になる義務論の原典みたいなものであってもだ。難しすぎて誤解もできない。そんな途方に暮れた一般人のための、カント概説書が出ていた。『自分で考える勇気――カント哲学入門』だ。

2015年12月10日木曜日

出だしからコケている気がするリベラル懇話会

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リベラル政党のための、リベラル政策を検討する、リベラル懇話会なるものが設立された(財経新聞)。出だしから、物凄く残念な感じが漂っている。マーケティング的にも、民主党の諮問機関としての実態から考えて、表に出てこない方が良い気がするのだが、コンセプトが一つの倫理観に依存してしまっているし、それへの理解にも混乱が見られる。その道の人が、検討した上で書いたとは思えないのだが。

経済学における合理性が誤解されそうな「実践行動経済学」

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ネット界隈で良く言及されている(気がする)「実践行動経済学」を読んでみたのだが、何か経済学に強い誤解を抱きそうな本だった。駄目な本と言うわけではなく事例が豊富で面白いのだが、合理的な経済人(ホモ・エコノミクス)に対する強い誤解を引き起こしそうな文が溢れていた。本書で規定される経済人は、無限の計算能力と神仏と同じ認知能力を持つことになっている。

2015年12月6日日曜日

東浩紀のゲンロンは日本から消滅すべき

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産経毎日新聞で批評家・作家の東浩紀氏と社会学者の開沼博氏の『脱「福島論」往復書簡』が掲載されていた。開沼氏は、福島県外の非当事者からの原発災害に関する意見に「ありがた迷惑」なものが多くあり、無自覚にそれを行わないようにして欲しいと訴えている*1のだが、それに東氏は『発言の権利がある人とない人を、誰かに「迷惑」か否かといった基準で分割する、乱暴な発想』と批判している。東氏は、開沼氏に「外から乗り込んできて福島を脱原発運動の象徴、神聖な場所にしようとする」のが迷惑だと宣言されて、「福島第一原発観光地化計画」が否定されたように感じて傷ついているようだ。計画が被災者のためになるか、迷惑になっても実行する価値があることを主張すれば良いだけ*2なのだが、発言権が取り上げられたように感じているらしい。