2014年7月8日火曜日

地裁判決とは理由付けが異なる京都朝鮮学校襲撃事件民事裁判控訴審の判決

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在特会・京都朝鮮学校襲撃事件民事裁判控訴審の判決概要が出てきて*1、色々な人が色々な解釈を試みている。地裁判決を維持したとしている人や、人種差別撤廃条約が私人間効力という論点でも先例となる判例としている人がいるのだが、高裁判決文からそう読み取ることは難しい。地裁判決は人種差別撤廃条約の直接適用を認めているが、高裁判決ではその部分を削除した上で間接適用に留めているからだ。

各所が書き換えられているのだが、例えば地裁の以下の部分は削除された。

4 このように,人種差別撤廃条約2条1項は,締結国に対し,人種差別を禁止し終了させる措置を求めているし,人種差別撤廃条約6条は,締結国に対し,裁判所を通じて,人種差別に対する効果的な救済措置を確保するよう求めている。これらは,締結国に対し,国家として国際法上の義務を負わせるというにとどまらず,締結国の裁判所に対し,その名宛人として直接に義務を負わせる規定であると解される。
このことから,わが国の裁判所は,人種差別撤廃条約上,法律を同条約の定めに適合するように解釈する責務を負うものというべきである。

代わりに、以下の部分が挿入されている。

4 人種差別撤廃条約は,国法の一形式として国内法的効力を有するとしても,その規定内容に照らしてみれば,国家の国際責任を規定するとともに,憲法13条, 1 4条1項と同様,公権力と個人との関係を規律するものである。すなわち,本件における被控訴人と控訴人らとの間のような私人相互の関係を直接規律するものではなく,私人相互の関係に適用又は類推適用されるものでもないから,その趣旨は,民法709条等の個別の規定の解釈適用を通じて,他の憲法原理や私的自治の原則との調和を図りながら実現されるべきものであると解される。
したがって,一般に私人の表現行為は憲法21条1項の表現の自由として保障されるものであるが,私人間において一定の集団に属する者の全体に対する人種差別的な発言が行われた場合には,上記発言が,憲法13条, 14条1項や人種差別撤廃条約の趣旨に照らし,合理的理由を欠き,社会的に許容し得る範囲を超えて,他人の法的利益を侵害すると認められるときは,民法709条にいう「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」との要件を満たすと解すべきであり,これによって生仏た損害を加害者に賠償させることを通じて,人種差別を撤廃すべきものとする人種差別撤廃条約の趣旨を私人聞においても実現すべきものである。

賠償金額が同じままである一方で、その算定理由も異なっている。地裁は損害賠償額を「人種差別行為に対する効果的な保護及び救済措置となるような額を定め」た。一方、高裁は「制裁及び一般予防を目的とした賠償を命ずることはできない」と地裁判決を否定しつつ、「人種差別を撤廃すべきものとする人種差別撤廃条約の趣旨は,当該行為の悪質性を基礎付ける」ので、「被害感情,精神的苦痛などの無形損害の大きさという観点から当然に考慮されるべき」として定めた。地裁判決より高裁判決はずっと保守的だ。

場所や状況をわきまえず、「○○人は犯罪者」「○○人は違法滞在者」のような発言を繰り返すことが名誉毀損や侮辱に該当すると言う判決にも思えるので、今まで発言に注意を払ってこなかった人には衝撃かも知れないが、名誉毀損や侮辱罪に関する判例を見ると意外に厳しいので、取り立ててて目新しいものでは無いように思える。少なくとも場所や状況に関わらずヘイトスピーチが違法になったと言う事でもないし、ヘイトスピーチを毛嫌いする人々は、高裁判決に満足してはいけないであろう。在特会の人々にも、もっと世間に調和的な政治活動を心がけるようにお勧めしたい。日本人をバカにしていたナチス・ドイツのハーケンクロイツ旗を掲げる*2のはどうかと思う。支持者を減らすであろうし、愛国行動とは言い難い。

*1【大阪高裁】在特会・京都朝鮮学校襲撃事件民事裁判控訴審の判決概要」で内容が紹介されている。地裁判決は「」で確認できる。

*2旭日旗と一緒にハーケンクロイツ旗を掲げて、日本の印象を悪くしようと試みている写真が報告されている。

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