2010年4月15日木曜日

ソフトバンクは携帯で儲けていると言えるか?

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iPhoneやホワイトプランで加入者数が好調に増加してきたように思われるソフトバンクモバイル(以下、SBM)だが、携帯電話事業で儲けていると言えるのであろうか?
2007年02月08日の決算説明会での孫正義氏は「携帯がもうかるビジネス」と発言しており、確かに加入者数は順調に増加してきているように思える。しかし、それはそのまま収益につながら無い。

携帯電話会社では、その基礎的な収益力の目安として平均加入者収入(ARPU)をよく参照している。
SBMのARPUは以下のようになっており、今までDoCoMoとauを上回った事は無い。廉価なサービスを消費者に提供している点は評価できるが、収益力を評価した場合は芳しくない傾向と言える。
スーパーボーナスという割賦販売は、端末の販売で販売奨励金が不要になる効果があるために営業費用の低下は発生していると考えられるが、後述するがSBMは費用面でも他社に強く優れているわけではない。

【ソフトバンク・モバイルのARPU】
2005年度 5,889円 ※DoCoMo 6,910円(年度末時点)
2006年度 5,515円(-374円) ※DoCoMo 6,700円
2007年度 4,658円(-857円)
2007年度Q4 4,520円(前年同期比-1,040円) ※DoCoMo 6,360円
2008年度Q1 4,180円(前年同期比-820円)(データARPU 1,650円)
2008年度Q2 4,170円(データARPU 1,710円)
2008年度Q3 4,090円(データARPU 1,790円)
2008年度Q4 3,830円(データARPU 1,710円) ※DoCoMo 5,710円
2009年度Q1 4,030円(データARPU 1,880円)
2009年度Q2 4,150円(データARPU 1,990円)
2009年度Q3 4,200円(前年同期比+110円)(データARPU 2060円) ※DoCoMo 5,440円

絶対的な加入者数も、2010年3月末時点で2,187万人強と、auの3,187万人強、DoCoMoの5,608万人強に比べて大きく水を開けられている。
つまりSBMは単価や収入で上位2社に大きく水を開けられており、絶対的な収入は少ないのだ。
営業利益率/ARPUで見てみると、DoCoMoとauが27%程度を確保しているのに対して、6%程度になっている。はっきり言って儲けているとは言えない。

また、ARPUに占める経費の割合は73%弱と74%弱のDoCoMoと同等であり、目だってコスト削減能力に優れているわけではないようだ。
 ざっとした数字から分かっている事は、 SBMはARPUが低いが、割賦販売を逸早く導入したのにも関わらず経費は同等にかかっていると言う事である。

結論は、他社に比較してSBMの収益力が低いと言うことである。
規模生産性の働くケータイ・ビジネスでは圧倒的不利な環境で善戦していると見ることもできるであろうが、上位2社に対して実は有利な材料はあまり無いのは確かであるようだ。
現在のところ、SBMが他社に対してアドバンテージを持つのは人気のスマートフォンであるiPhoneの販売を唯一行っている事であるが、アナリストの予測通りAndroid携帯が立ち上がってくれば、そのアドバンテージも失われるであろう。
競争が激しいケータイ電話市場だけに、SBMの次の一手に注目される。

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