2021年8月21日土曜日

ベンサム流快楽功利主義の一意性

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

話がおかしくないかと言う話をふられて「ベンサム「功利主義」(最大多数の最大幸福)の数学的誤謬」というエッセイを拝読したのだが、確かにおかしい。ベンサムから功利主義では限界効用逓減法則を採用しているので、エッセイで取り上げられているシグモイド関数は功利主義の条件を満たした効用関数にならないから、理想的な配分が一意にならないと言う主張は不適切だ。

功利主義の効用関数は都合が良すぎるので、よくある前提の下で、人々の幸福の和を最大にする配分が一意性を満たすことを確認するのは容易だ。が、さっき説明を間違えたので、このエントリーを反省して書く(´・ω・`)ショボーン

単調増加な効用関数をu,財の量をx,αとすると,限界効用逓減法則があるのでu(x)-u(x-α) > u(x+α)-u(x)となる。受け取る財がxよりαだけ少なくなる苦痛の方が、xよりαだけ大きくなる快楽よりも大きい。これを整理すると、2u(x) > u(x+α) + u(x-α)となる。

問題のエッセイと同様の手抜きで、2人しかいない社会の快楽の総和U(x, y)=u(x)+u(y)を考えよう。社会にある財の合計は一定とする。x,y,αを財の量として、前の段落の計算から、2(u(x) + u(y)) > u(x+α) + u(x-α) + u(y+α) + u(y-α)となる。社会状態U(x,y)は、同じ財の量のU(x+α,y-α)とU(x-α,y+α)の平均より望ましい。

さて、効用Uが最大になる理想的な配分が一意にならないと仮定しよう。うち2つの社会状態を取り出し、U(x+α,y-α)=U(x-α,y+α)と書くことができる。u(x+α) + u(y-α) = u(x-α) + u(y+α).ここで前の段落から、2(u(x) + u(y)) > u(x+α) + u(x-α) + u(y+α) + u(y-α)となるため、2(u(x) + u(y)) > 2(u(x+α) + u(y-α))となり、財の合計が同じなのに、より大きな快楽の和の社会状態があることになり、仮定と矛盾する。よって、理想的な配分はあれば一意だ。

個人の効用関数が凹関数の場合はその合計も凹関数で、凹関数の無差別曲線は原点に凸だから最大化問題の解は一意と言うべきな気もするが、線型分離可能なので計算してもそんなでもない。なお、嫉妬心や優越感など他者の状態に依存する快苦もあるので線型分離可能なのかは謎だし、好きな菓子類も死ぬほど食べたら快楽が苦痛になるから単調増加なのかも謎。問題エントリーとは別の意味で、理想的な配分は一意とは限らない。

0 コメント:

コメントを投稿