2014年2月11日火曜日

共有知識、相互知識、共通事前確率

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

経済評論家の池田信夫氏が「開かれた社会におけるナッシュ均衡の不可能性」と言うブログのエントリーの中で、Aumann and Brandenburge (1995)で「3人以上のゲームでは、全員の共通事前確率と利得関数についての共有知識がナッシュ均衡の十分条件だという定理」が証明されていると主張しているが、これは正確ではないと言うか*1、誤りだ。

ゲーム理論のナッシュ均衡が成立するためには、従来は共有知識(common knowledge)が必要だと考えられていたそうだ。これはゲームに参加しているプレイヤー間で、お互いに何を知っているのかまで共有することを意味する。しかし、同論文では、全員が知っているものの誰が知っているかまでは分からない相互知識(mutual knowledge)や、ゲームに参加しているプレイヤーのタイプの分布である共通事前確率(common prior)があれば、全てが共有知識である必要が無いことを主張している。

2人ゲームの場合は、利得関数と合理性と他プレイヤーの行動の推測が相互知識であるだけでよくて、n人ゲームの場合は、共通事前確率があり、他プレイヤーの行動の推測が共有知識であれば、利得関数と合理性は相互知識で良いそうだ。残念ながら現実への含意は説明できないが、相手が自分の損得をどう考えるか正確に分かっていなくても、非協力ゲームでナッシュ均衡は実現されるものらしい。

論文にリンクが貼られており、論文の最初の節どころか要約を読めば分かることだし、wikipediaを見ても『Aumann and Brandenburger (1995) によって、2 人ゲームでは合理性が共有知識であることはナッシュ均衡戦略のための認識論的条件としては不要であることがわかった』と書かれている。理論論文を読むのは無理なのかも知れないが、多少は調べてからハッタリを利かせた方が良いのでは無いであろうか。

*1論文の定理の主張から、利得関数が共有知識であれば十分条件になることは誤りではないのだが、あくまで定理の主張は相互知識でも十分条件であるという事である。共有知識であれば、相互知識にもなる。

0 コメント:

コメントを投稿