高市早苗総理がマレーシア訪問で、クアラルンプールの日本人墓地と国家記念碑を訪問し、マレーシアで命を落とした先人を慰霊したことをツイートしたのだが、一部のマレーシア人の怒りを買ってしまった。日本軍のマラヤの華人虐殺や、泰緬鉄道の建設工事における連合国捕虜とマレー人の虐待、日本軍憲兵の横暴、日本占領期の食糧危機を忘れて、日本人の慰霊だけしているのはどうなのかと言う話。
このマレーシア人の非難に、ネトウヨの皆様が、いつまで太平洋戦争の蛮行の謝罪と反省をしないといけないのかと批判しているのだが、政治家が東南アジアを訪問して太平洋戦争を言葉に出して振り返るときは、今後何世紀かは謝罪と反省が必要と考えた方がよい。
強盗をして警官に取り押さえられた犯人が、警官に組み抑えられて怪我をしたとだけ嘆いていたら、反省を認めるのは難しい。刑期を終えた後であってもだ。日本人からしてみると、日本政府(日本軍上層部)と日本兵は利害が異なる存在だと認識しているわけだが、多くのマレーシア人から見たら同一組織である。
当時の日本人のやらかしの責任を今の日本人に負わすべきではないと言う主張もあるが、当時の日本人を慰霊しているわけで日本人という集団の継続性を認めてしまっている。今回は、国内でではなく国外で、しかも日本軍が現地に被害を与えた地域で日本人戦没者を慰霊するときの話だ。
日本政府が犠牲者ぶっているように見え、拡張的領土政策やそれに伴う現地住民の被害を反省せずに、忘れようとしていると受け取られることは、今後の日本外交に負の影響をもたらしかねない。マレーシアを含め、東南アジアの多くのカウンターパートは選挙のある民主国家だ。政府が色々な思惑で親日的であっても、国民の対日感情に引きずられることはあり得る。
(建立した人々の性質が気になるが)華人犠牲者の慰霊碑にも献花して、それをツイートするようなバランスが欲しかった。支持者の怒りを買う可能性があるので、高市氏には難しい行為だとは思うが。

 



 
 
 
 
 
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