批評家のクリッツァー氏のエッセイにある一節に、文筆家の白饅頭こと御田寺圭氏がクリッツァー氏の議論の方が非生産的だと非難している。
クリッツァー氏の文で非難されている一節は以下だ。白饅頭氏を念頭に置いている気もするが、白饅頭氏だとは言及していないので、そんなに気にしなければ良いと思うのはさておき、ネット界隈で人気の反リベラルでアンフェのアカウントの皆さんが、往々にして非難や揶揄に留まった議論をしているのは確かだ*1。藁人形論法などの誤謬推理になっていることも多々ある*2。
インターネット上で話題になっている事件を、理論とデータをもとに社会科学的に分析。
批評家のクリッツァー氏のエッセイにある一節に、文筆家の白饅頭こと御田寺圭氏がクリッツァー氏の議論の方が非生産的だと非難している。
クリッツァー氏の文で非難されている一節は以下だ。白饅頭氏を念頭に置いている気もするが、白饅頭氏だとは言及していないので、そんなに気にしなければ良いと思うのはさておき、ネット界隈で人気の反リベラルでアンフェのアカウントの皆さんが、往々にして非難や揶揄に留まった議論をしているのは確かだ*1。藁人形論法などの誤謬推理になっていることも多々ある*2。
一般公開されていた『「社会正義」はいつも正しい: 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』の巻末訳者解説が、出版社から「本文とあわせて読まれることを前提に書かれ(ていたので)本文と切り離した形でウェブ公開すること自体が不適切」*1編集者から「テキストが持ちうる具体的な個人への加害性にあまりに無自覚」だったとコメントが出されて、公開が停止された。
2月24日のロシアのウクライナ全面侵攻開始から262日が経過したが、ロシア軍は
と言った戦略的目標(と想像される事項)の達成を次々と諦めているようだ。当然だが、目標変更は戦況を反映しており、今後のロシアの動向も戦況によって変わってくる。情勢を把握するためにロシア軍の被害状況の推移を確認してみたい。
戦争終結が遠のいた。
10月上旬には戦況から憶測が飛び、10月19日にはロシア軍司令官が可能性に言及していたヘルソン州ドニエプル川の右岸からの撤退だが、本当はどうしたいのかなと思っていたら、11月9日になってロシアのショイグ国防相が命令したと言及した*1。
統計解析で用いられるR言語から定型処理でHTMLやPDFのレポートを作成するツールR Markdownがぼちぼちと一部界隈で流行っている。
データセットの更新や追加、パラメーターの変更で数値や図表が変化することはよくあるのだが、レポートの関連箇所を手作業で書き替えていくのは、手間のかかる上に見落としなどが入りやすい雑用だ。
R Markdownでレポートを適切に書いておけば、データ更新をしたら一つの命令でレポートの再作成が可能になり、効率がぐっと良くなる*1。
人気マンガ『ゴールデンカムイ』の実写映画化のキャスティングで、アイヌ役を大和民族の俳優が演じることへの批判に対してネット界隈の表現の自由戦士の皆さんが反論をしているが、社会的な支配層が被差別集団の役を演じてはいけないと言う表面的なルールとして捉えるだけで、そのルールが予防しようとしている問題に目を向けていない。
データサイエンスブームもひと段落しつつあるこの頃であるが、統計解析や機械学習を行なうために、どのプログラミング言語を学習すべきかと言う質問はずっと頻出の質問だ。候補や推奨を見るとPython、R、Matlab、Juliaあたりが人気の候補だが、なぜかRは学習困難な言語と言う話がされることがあり*1、醜悪と言っている人もいる。しかし、人気のプログラミング言語の中ではシンプルな文法を持っているのがRなので、これは違和感のある主張だ。
「データサイエンティストになるのにRとPythonのどちらを勉強したら良いですか?」と言う御題が出されて、伝統的な統計解析だとRのライブラリが充実しているが、機械学習だとPythonが充実しており、システム開発ではPythonの一択だが、同僚や共同研究者にあわせないといけないから両方覚えることになると言うような指針が示された上で、それぐらい自分で考えられない人は何者にもなれないと言うような話になっていた*1。
某巨大掲示板で知られるひろゆき氏が、普天間基地の移設先として知られる辺野古キャンプ・シュワブのゲート前での座り込み抗議を揶揄して論争になっている*1。
小学生のような素朴な感想も大事と言えば大事なのだが、オトナとして読み取るべき情報を理解していないのが興味深い。工事を強行しても、何日経っても、基地移設計画反対なのは変わらないことを伝える運動であることを抑えて話をしないと、座り込みの意味を理解していない頭が悪い感想だと非難されてしまう。
ロシアのウクライナ全面侵攻は2022年2月24日に開始されたが、ロシアとウクライナを結ぶ鉄道拠点であるクピャンスク(Kupiansk)は2月27日に、北部からドネツィク州に侵攻する起点となるイジューム(Izyum)州は3月17日、主要都市セベロドネツク攻略の足がかりになるリマン(Lyman)は4月30日にロシア軍に制圧され、その後のドンバス地域でのロシア軍の攻勢を可能にしてきた。
安倍元総理をはじめとする多数の自民党議員が統一教会と関わっていたために、各社の世論調査で賛成多数から反対多数に変化した故安倍晋三国葬儀が終了した。武道館周辺ではデモも行なわれていたが、そう規模は大きなものではなく、弔問者の長い列の方が目立つもので、概ね平穏に済んだと言える。
2023年公開予定のディズニー実写版『リトル・マーメイド』で黒人のハリー・ベイリーが人魚姫役に抜擢されたのはファンに対する裏切りでがっかり、白人が非白人の役を演じるwhitewashingを批判する者は、非白人が白人の役を演じることも批判すべきだと言う主張を見かけた*1のだが、whitewashingの批判者の問題意識を勘違いしている。
「イチローの安打数がポアソン分布にならず正規分布になる理由を考察してみた」が流れてきた。曰く、1994年のイチロー選手は打率が高く好不調の波が小さいので、その試合ごとのヒット数はポアソン分布では無く正規分布に従っていると主張されている。分析と解釈に色々と問題があるので指摘したい。
性的魅力を強調した女性表現が少年・少女に悪影響がある説があって*1、特に少女への悪影響が危惧されている。
心理学者は実験や観察からこの説の是非を検討しているのだが、数ある研究の中でゲームの登場人物のセクシー化(sexualization)は影響がとても小さいと言う研究が、人気ブログのギガジンで間接的に紹介されたこともあり、ネット界隈の表現の自由戦士の間で広まっている。
岸田内閣の支持率が急落している。メディアを賑わす世界平和統一家庭連合(統一教会)と政治との関係への対処が影響している可能性は高い。両者の関係を問題視する報道が多いが、安倍元総理の強い支持者層、統一教会が反社会的な団体と認識できない人々、安倍元総理の暗殺犯の政治的意図に従うことが面白くない人々などが、統一教会叩きだと反発している。
感染症専門医の忽那賢志氏がメタアナリシス分析のTalic, Shah, Wild, Gasevic, Maharaj, Ademi et al. (2021)などを参照して、マスク着用率の高い日本でSARS-CoV-2感染拡大が続いているにしろ、やはりマスクに感染予防効果があると主張している*1。
塩野義製薬の新型コロナ治療薬候補・ゾコーバ錠の緊急承認手続き継続審議に対して日経新聞の社説が「何のための薬の「緊急承認制度」なのか」と錯乱している。この世には製薬メーカーが数多くあると言うのに、経済新聞が治験に対して十分な知識を持たないのが残念だ。
安倍元総理が演説中に凶弾に倒れたあと犯人の動機に興味関心が注がれているのだが、安倍総理と統一教会の関係から論じるのを非難する安倍元総理の支持者をぼちぼちと見かける。彼らはテロリストを礼賛し、暗殺が自業自得であったと考えることになると主張しているのだが、テロリストが凶行に及んだ理由を推察するのもテロリズムと言って弾圧しそうな考え方だ。
奈良県西大寺駅前ロータリーで演説中の安倍元総理が手製の銃で暗殺された事が驚きをもって受け止められている。確かに驚いたのだが、要素分解すると日本では前代未聞の珍事ではない。安倍元総理が殺害されたことをもって、日本が危険になったと言う話をちらほら見かけるのだが、早計だ。
第1次世界大戦でドイツが飢餓に陥り、英国が食料確保に苦しんだことから、「第二次大戦後、ヨーロッパの国々は…作っても儲からない、安くて仕方ない小麦などの穀物をワンサカ作るようになった。」と言う話が枕になっている、「先進国の安い穀物が飢餓の素地をつくる」と言うエントリーが流れていた。誤った情報からおかしな議論が展開されている気がするので、気になったところを指摘していきたい。
中の人が大学教員と言う墨東公安委員会氏が、表現の自由に対する自身の立場を長々と宣言した後、表現の自由戦士がアニメやマンガの擁護ではなく、同士との連帯感や承認欲求を求めて表現規制派フェミニストを非難していると主張している*1。
マンガ家で参院選候補者の赤松健氏の昔のツイートの「自民党に頭を下げて、話を聞いてもらわなくては」が気に入らなかったようだ。しかし、オタクの皆さんの危惧を矮小化しすぎだし、議会制民主主義を甘く見すぎである。
国外の女性表現の是非の議論では、男子にではなく女子の振る舞いへの影響が危惧されていて、ちょっと昔のアメリカ心理学会(APA)のセクシー化された女子に関するタスクフォースのレポート*1では、女子の学業への悪影響が挙げられている。
APAのレポートは多岐な議論が紹介されているのだが、女は容姿と愛嬌と理解して熱心に勉強しなくなると言う話の他、真似をしてエロ可愛い格好をするようになると勉強に集中できなくなる説が紹介されている。ネット界隈の議論では女性心理への悪影響を見落としがちだし、特に認識力への悪影響は無視されがちなので紹介しておきたい。
マンガ家の参院選候補者の赤松健氏が「外圧や行き過ぎたジェンダー論など議論の中心に当事者がいないのはおかしい。」とツイートして、ジェンダー社会学者やフェミニストから学問の自由の観点から非難されている。
ジェンダー論(gender studies)に基づくマンガに関わる表現規制の議論に、マンガ家が参加していないのはおかしいと言っているだけだし、学問としてジェンダー論を学んだり研究したりすることを非難しているわけではないので批判の多くは失当だが、「行き過ぎたジェンダー論」と言う表現は確かに奇妙だ。何を基準に行き過ぎと言うのであろうか?
某氏がKendall (2007)を不用意に紹介して強く非難される中で、インターネットのブロードバンド接続の普及により、ノルウェーではポルノ視聴が性犯罪を増やしたことを主張する論文Bhuller, Havnes, Leuven and Mogstad (2013)が言及された流れで、Bhuller et al. (2013)と同様の分析をドイツで行った論文Diegmann (2019)*1が紹介されていたので拝読してみた。Kendall (2007)が主張し、Bhuller et al. (2013)が否定した、ポルノと性犯罪の代替効果が部分的にしろ観測されている。
ポルノ利用が性犯罪を減らす可能性はそこそこ高い。ここ何十年間で世界中でポルノ視聴は容易になり、ポルノの製作数も飛躍的に増えている一方、性犯罪は劇的に減っている。しかし、時系列のデータなので、ポルノ視聴が影響したのか、他の要素が影響したのか統計的に判別することは容易ではない。相関を示すことができても、因果を示すのは大変だ。相関を示すことすら、上手くできないこともある。
統計学者や統計分析者でなくても、統計解説の結果を間接的にでも見ることは少なくない。しかし、統計解析を正しく行うのも、分析結果を正しく解釈するのも、実際のところは容易ではない。オモシロ統計が世に広がり、誤解が世間に定着しかねない世の中だ。
所謂統計リテラシーの問題なのだが、ダメな分析や解釈についての一般書でこれと言うものは私が知る限り無かった。類書で『統計でウソをつく法 — 数式を使わない統計学入門』が連想されるが、同書は書かれてから時間が半世紀以上経ち、内容もサンプリング・バイアスや記述統計量(というか平均)の性質、グラフの見せ方の話などがある一方、回帰分析が引き起こす誤謬や、社会や制度が統計分析者に与える影響についての記述は無い。
職業差別が不徳とされる日本社会なので、ポルノ女優や性的サービス従業者などのセックスワーカーの人格を蔑視してはいけないことに異論を唱えられる人は少ないはずだ。ここから、セックスワーカーにも職業人としての誇りがある、セックスワークは女性の尊厳を損なわないと言うような主張がされているのだが、論理の飛躍があるので指摘したい。
また三角関数に関する政治化の放言*1かと思うわけだが、藤巻健太衆院議員が三角関数は専門性が強い知識なので、高校数学からは除外して代わりに金融経済を学ぶべきだと主張したことが多くの反論を呼んでいる。藤巻氏は万人が恩恵を受けている技術に三角関数が利用されている事を認めつつも、その技術の利用に三角関数の知識は不要と指摘しているのだが、主張のこの部分は正しい。
統計学にはアヤメ(Iris)の有名なデータセットがあって、よく統計手法の説明に使われている。これが政治的に正しくないので、他のデータセット(i.e. パルマーペンギンのデータセット)を使うようにしようと言う呼びかけがあるのだが、理屈がほとんど立っていない。だから、アヤメでもパルマーペンギンでも好きな方を使えばよい。
フォロワーが4万を超えていたネット論客の青識亜論氏のTwitterアカウントが突然凍結された理由が訝しまれている。侮辱や名誉毀損や猥褻物頒布などいかにも規制されそうな行為はしてこなかったからだ。しかし、Twitterポリシーを眺めると、一つ引っかかりそうな項目がある。このポリシーで凍結されてしまった著名アカウントは他にも思い当たるので、リスクを周知する意味で、青識亜論氏の言動を検討しておきたい。