元官僚の高橋洋一氏が、円安の方が雇用がよいと、時系列データの相関係数が高い事を論拠に主張しているが、この論証方法は全くもって厳密ではない。
時系列データは上昇トレンドや下降トレンドを持つことが通例で、2つの時系列を比較すれば似ていることはよく起きる。縦軸のスケールを変えれば、ほぼ50%確率で似る。世界の平均気温にも似ていると突っ込まれている。
インターネット上で話題になっている事件を、理論とデータをもとに社会科学的に分析。
元官僚の高橋洋一氏が、円安の方が雇用がよいと、時系列データの相関係数が高い事を論拠に主張しているが、この論証方法は全くもって厳密ではない。
時系列データは上昇トレンドや下降トレンドを持つことが通例で、2つの時系列を比較すれば似ていることはよく起きる。縦軸のスケールを変えれば、ほぼ50%確率で似る。世界の平均気温にも似ていると突っ込まれている。
ある社会学者が、小学校英語にフォニックス(synthetic phonics)を導入しようと言う主張に対して、小学校英語でのフォニクスの効果にエビデンスはあるのか、非英語圏の小学校英語について研究しているのに聞いたことがないと指摘していた。
フォニックスは、英単語の音節ごとの綴りの発音の規則性を中心にした英語学習方法だ。英語圏の児童に対して(それまでの教育方法よりも)高い教育効果があると、2000年頃までには教育学界隈で言われるようになった。『ライオンとイングリッシュ(Between the lions)』と言う幼児番組を見ると、どういうものか分かる。
NENENENE@研究こと國武悠人氏の女子枠批判論文Kunitake (2025)の日下田 (2024)*1の紹介が微妙だが僅かにハルシネーションになっているので指摘したい。ついでに日下田 (2024)自体にある問題点も説明する。
日下田 (2024)は、計量分析を用いて、一定以下の家計所得の大学進学予定者において、私立大学に自宅外通学する意思のない生徒は理工系進学を希望しないことを示した論文だ。私立大学に自宅外通学する意思がないのは所得制約が厳しいためだと解釈している。計量分析の結果と解釈に乖離があるのに注意して欲しい。
チェコでCOVID-19ワクチンの接種の有無で妊娠率が異なったことから、同ワクチンが妊孕性に影響を及ぼすかも知れないと指摘した論文Manniche, Fürst, and Hansen (2025)が、反ワクチン界隈で広まっているらしいのだが、この結果は欠落変数バイアスによる可能性が高い。
高名な情報量規準主義者の主観ベイズ統計学への誤解を受けてか、統計学を専門としない数学者が、ベイズ意思決定理論における小さな世界(small world)と言う特徴を3年間ぐらい繰り返し批判している*1。しかし、ベイズ以外のあらゆる数理的分析においても小さな世界を分析することになるので、殊更、ベイズ統計学の欠陥のように取り上げるのはミスリーディングだ。
NENENENE@研究こと國武悠人氏の女子枠批判論文Kunitake (2025)には、統計解析をかけている部分があるのだが、女子枠推進者の主張に対応していないので意味をなしておらず、手法の選択が下手な上に、解釈がおかしいところがあるので指摘したい。
これから研究を学ぶ大学院生が、半年前とは言え学部生のときに書いたペーパーを批評するのは心苦しいが、学術論文として公刊してしまったのだから仕方が無い。気づくと週刊誌に記事を書いているし、社会的影響も出始めている。
「クロス集計表を作るのは簡単だけれど、カイ二乗検定の説明になると難易度が数段上がってしまう」と言うツイートを見かけた。まさにその通りで、クロス表の独立性検定はよく見かける一方で、その説明は難しい。
クロス表は二種類の因子の組み合わせごとの度数をまとめた表のことで、独立性検定とは二種類の因子に相関が無いと言えるかを調べる方法だ。共変量を統制できないので効果的に利用できる場面は限られるが、入門レベルの教科書や学部の講義ではよく紹介されている。
これまで名誉毀損で何回も問題になり、虚構を含めた情報を拡散させるなどしてクルド人への憎悪を煽っていると非難されている、ジャーナリストの石井孝明氏が出した埼玉県の外国人検挙率の数字を参照し、「リベラルや反差別を掲げる人々」は「統計的根拠に基づいて差別をすることを肯定するべきかどうか」「答えなければならない」と主張しだした人がいるのだが、その前に石井孝明氏の出した数字がミスリーディングなものでないか検討する必要があるので指摘したい。
SNS男女論界隈では、ここ数年でフェミニズムが急速に支持を失ってきたと言うような主張が、フェミニズム批判者から見られることがある。𝕏/Twitterでの議論では勢いが無くなっているようだ。しかし、日本全体で見るとそう大きな変化はない。
世論調査の結果を参照して、男女共同参画推進派フェミニストが数を減らしているという主張もあったりするのだが、これは解釈に難がある。
「R言語は本当に実装向きではないのか?— 固定観念を問い直す」と言う記事を見かけたのだが、シングルスレッドだからシステム構築に向いていないと言う主張がされていた。Pythonのウェブアプリケーションもシングルスレッドで使われているわけで、話がおかしい。恐らくシステム構築に関わったことが無い人が書いている。
社会学の質的調査*1では、仮説が検証できるまで調査対象者を増やしていくと言う説明があり*2、𝕏/Twitterで統計学的に不正だと非難されている。
社会学者がやっていることなので胡散臭く思うわけだが、その非難は的を外している。サンプルサイズを適応的に増やすことが直ちに統計不正になるわけではないし、そもそも質的調査は事例研究に過ぎず、統計解析から普遍的な傾向を示すものではない。またインタビューイを増やすことが、標本調査のサンプルサイズ拡大にあたる行為とも限らない。
財務省がOECD諸国の一人あたり実質GDP成長率を歳出拡大率に単回帰をかけて、両者に「相関が無い」と主張したことに対して、本業はデータサイエンティストとのことのhatankokka氏がデータ解析が不適切だと批判し、外れ値を除外した異なる分析を提案している*1。
しかし、どうもhatankokka氏は、財務省の意図をよく理解していない気がするし、また、代わりに提案している分析も適切とは思えない。問題に気づいていない人々がいるので指摘しておきたい。
それを専門とする研究者のコメントをもらってください。
動画の高速再生がどの程度視聴者の理解を困難にするかについての高校生の研究を、インタビュー型式で紹介したウェブの記事*1が話題になったのだが、藤田医科大学の宮川剛氏が提示されたデータからそのような事は言えないのではないかと𝕏/Twitterで批判しだし*2、学校に詳細を問い合わせるなどを行った。そして、この宮川氏の行為に賛否が議論になっている。
Salter et al. (2003)を紹介している日経メディカルの記事に参照しつつ、性的児童虐待の被害者は、性的児童虐待を犯しやすいと主張している人がいた。あるイギリスの総合教育病院にかかった家族外からの児童性虐待の被害を受けた224名の男性のうち26名が、後日、家族外に児童性虐待を行っていたことを指摘する論文だ。他にも、Ogloff et al. (2012)はオーストラリアのデータから相対リスク7.59としている。これらの論文からは、性的虐待の被害者は明らかに高リスク群に思えてくる。
NHK高校講座の数学Ⅰの統計的仮説検定に関する理解度チェック問題が、間違っているのではないかと話題になっている。
統計的仮説検定では、分布のパラメーターがある値である等号の式を帰無仮説としてとることが多く、片側検定の場合は不等号で表記することもあるといった慣習なのだが、不等号の帰無仮説のみを正解としているからだ。
社会学者の柴田悠氏の社会調査協会の『社会と調査』第17号に掲載されたエッセイ「政策効果の計量分析—一階階差 GMM 推定の手順と実際」の話の頭に、パネルデータ分析に慣れていない人を混乱させそうな誤解が書いてあったので指摘しておきたい。
「パネルデータには OLS推定を適用できない…前提諸条件のうちの2つが…成立しない…1つは,誤差はどの国でも均一に生じるという条件…1つは,どの国のあいだをとってみても誤差の相関がないという条件」とあり、個体方向もしくは時系列方向に誤差項の不均一性があるパネルデータには最小二乗法(OLS)が使えないと言う主張がされているが、有効ではなくなっても、不均一分散以外がOLSの仮定を満たせば、不偏かつ一致する推定量が得られるので、あとは標準誤差の計算に一手間かければ問題なく使える。
理工系のラボの統計解析では実験計画をどうするかの方が成果を大きく左右するためか、出てきたデータの統計解析はよく考えずに慣習に沿っている面がある。国内外の理工系ラボの向けの実践ガイドラインを見ると、古臭く問題含みの方法を説明していることもある。
推定された信頼区間を母集団のパラメーターが95%の確率で入っている区間と説明するなんちゃって解説はよくされており、昨日も中堅私大のマーケティング分野の大学教員がウェブ媒体でそのような説明をしていた。しかし、観測値から実際に計算された信頼区間は、母集団のパラメーターがある確率で含まれる区間ではない。
ややこしいので世界中で勘違いされている信頼区間だが*1、理解を深めるための変態的な例であるWasserman (2010)の6.14 Exampleを紹介したい。Berger and Wolpert (1984)が元ネタと書いてあるので、恐らく語り継がれている有名な例。